看護師のリーダーシップとは?リーダーの役割と必要なスキル

公開日:2024/12/27 更新日:2024/12/27
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看護師にとって、リーダーシップは安全で質の高い看護を提供するために不可欠な要素です。

この記事では、看護におけるリーダーシップとはなにか、リーダー看護師の役割や必要なスキルを解説します。

看護で求められるリーダー像を明確にして、必要なスキル習得を目指しましょう。

看護におけるリーダーシップとは

看護におけるリーダーシップとは、チームや組織をまとめ、目標達成に導く力のことです。

チーム医療を行う看護師には、円滑なコミュニケーションを図りながら全体をまとめて、質の高い看護を提供していくリーダーシップが求められます。

リーダー看護師は現場の最前線でチームを率いる役割を担います。管理職が組織全体の運営に注力するのに対し、リーダー看護師は現場で迅速かつ適切に判断を下し、行動することで患者さまの安全を守ります。

医療現場では状況が常に変化するため、現場での柔軟な対応力もリーダー看護師に求められる要素です。

リーダー看護師の役割

リーダー看護師の役割は、おもに以下の4つです。

  • 業務マネジメント
  • メンバーサポート
  • チームマネジメント
  • 他病棟・他部署間との連携

これらの役割を効果的に果たせると、看護の質の向上や患者満足度の向上、チームメンバーの成長に貢献できるでしょう。

それぞれの役割を解説します。

業務マネジメント

リーダー看護師は、病棟全体の業務がスムーズに進むようマネジメントを行います。

具体的には、以下のような業務があります。

  • 患者さまに関する申し送り
  • 医師への報告・指示受け
  • 病棟全体の業務の把握
  • カンファレンスの進行役

これらの業務は、看護師の経験年数や病棟の規模、人員配置などによって異なりますが、どのような状況でも適切に対応する必要があります。

メンバーサポート

リーダー看護師はメンバーが安心して仕事ができるよう、業務の進め方について相談にのり、的確なアドバイスをする必要があります。

業務が滞っているメンバーを見つけた際は、進捗状況を確認し、優先順位や行動計画を見直します。また、ほかのメンバーに業務を分担できるかを検討し、解決策を一緒に考える姿勢も必要です。

新人や若手の看護師は、自らSOSを発することが難しい場合があるため、「困っていることはないか」「進んでいない業務はないか」など、リーダー看護師から積極的に声をかける姿勢が大切です。

さらに、インシデントやクレーム発生時には、動揺しているメンバーに、「少し休憩を取ろう」「落ち着いて一緒に確認しながらやろう」などと、安心感を与える声かけを行い、冷静さを取り戻すサポートを提供します。

話しかけやすい雰囲気を作ることで、メンバーが報告・連絡・相談しやすくなり、業務もより円滑に進められるでしょう。

チームマネジメント

リーダーシップによりチームマネジメントができると、チーム全体がまとめられ、質の高い看護の提供につながります。

以下は、チームマネジメントの具体例です。

  • 各メンバーの経験年数や得意分野を考慮し、適切な業務を割り振る
  • 新人看護師の指導・教育を行い、チームの一員として成長できるようサポートする
  • 業務負担の大きいメンバーを把握し、必要に応じて支援や調整を行う
  • 患者さまやご家族からの意見・不満に適切に対応し、チーム全体で解決策を考える
  • 医師からの指示を正確に理解し、メンバーに伝える

タスクを振り分けるときには、メンバーの適性に加え、患者さまの受け持ち人数や重症度なども考慮することが大切です。

他病棟・他部署間との連携

円滑な連携は、患者さまへの安全でスムーズな治療・ケアの提供に不可欠です。

リーダー看護師は他病棟・他部署との橋渡し役として連携を図る必要があり、病棟の代表として各部署の状況を把握し、患者さまにとって最適な転棟・手術・検査などのスケジュールを調整します。

他部署との連携では、急な処置が発生して患者さまの移動時間の変更を依頼するなど、交渉が必要となる場面も出てくるでしょう。

このような場合は、変更の理由を明確に伝え、相手側の都合も考慮しながら、協力して解決策を見つける姿勢が重要です。

リーダー看護師に必要なスキル

リーダー看護師には、質の高い看護を提供し、チームを効率的にまとめるために、以下のようなスキルが求められます。

看護に関する知見や技術

リーダーとして質の高い看護へ貢献するためには、その領域における豊富な知見と確かな技術が欠かせません。

たとえば、急性期では緊急時の対応や迅速な観察と適切な処置の実施、容態変化への対応などが必要です。終末期では、身体的・精神的な苦痛緩和のためのケアや家族への支援、グリーフケアなどがあげられます。

病院内で行われる研修や学会への参加、資格取得などを活用して自己研鑽を深め、必要な知見・技術を養う必要があるでしょう。

状況把握力

状況把握力とは、現状を正しく理解し、今後の変化を予測する力のことです。

医療現場は刻一刻と変化していくため、リーダー看護師は部署やメンバーをまとめ、適切な指示を出すために、状況を把握する必要があります。状況把握のためには、患者さまの様子やメンバーの表情、周囲の環境音など、あらゆる情報にアンテナを張ることが大切です。

また、収集した情報を整理・分析し、過去の経験やデータに基づいて変化を予測することで、事前に適切な対策を講じられます。

リーダー看護師が状況を把握して適切な指示を出せると、メンバーは安心して業務に取り組めるでしょう。

判断力

リーダー看護師には、患者さまの状態を的確に捉え、迅速かつ適切な判断を下す能力が求められます。

たとえば、患者さまの容体が急変した際には、必要な医療介入を検討しつつ、情報を医師に共有し、チームメンバーに処置の準備を指示しなければなりません。

また、患者さまが薬の副作用を示している場合、その症状が薬に起因するかどうかを観察し、必要に応じて医師や薬剤師と連携して適切な対応を行います。

判断力を発揮することで、患者の安全を確保するとともに、メンバーの信頼を得ることができ、現場全体のパフォーマンスを向上させられるでしょう。

問題解決力

医療現場では、予期せぬ問題やトラブルが発生する場面があり、リーダー看護師には冷静かつ適切に対処できる問題解決能力が求められます。

問題解決能力が低いと、チームメンバーが混乱し、患者さまに不安を与えかねません。

問題解決能力を高めるために、以下の4ステップを意識しましょう。

  1. 問題の明確化(例:患者さまの容態が急変した状況を把握する)
  2. 情報収集(例:バイタルサイン、既往歴、現在の症状を確認する)
  3. 解決策の立案(例:医師に連絡し、必要な緊急処置を行う)
  4. 実行と評価(例:実行した結果、患者さまの容態が安定したか、ほかに改善すべき点はないか評価する)

問題解決の過程では、常に患者さまの安全と安楽を最優先に考える姿勢が大切です。

メンバーと協力して対応することで、リーダーとしての信頼感も得られ、結果としてチーム医療全体の質の向上につながるでしょう。

管理能力

管理能力は、目標達成をスムーズにし、チーム全体の生産性を高めるために重要なスキルです。

業務管理では、各メンバーの業務負担を把握したうえで過不足なくタスクを割り振ると、チーム全体の生産性を高められるでしょう。

人員管理では、メンバーのスキルや経験、個性などを考慮し、適材適所に配置すると、個々の能力を最大限に発揮できます。

コミュニケーション力

リーダー看護師にとって、優れたコミュニケーション力は、円滑な人間関係を築き、チーム医療を成功に導くために重要なスキルです。

医師やほかの看護師、他職種のスタッフと連携がスムーズになると、患者さまにとって適切な医療・看護を提供できるようになります。

一方で、リーダー看護師のコミュニケーション能力が低いと、さまざまな場面で支障をきたす恐れがあります。

たとえば、医師や看護師、他部署との意思疎通や連携がうまく図れず、情報共有の遅れからミスにつながる可能性もあるでしょう。

また、チーム内の雰囲気が悪くなるうえ、患者さまに対しても不安や不信感を与えてしまいかねません。

そのため、リーダー看護師には、以下のようなコミュニケーションスキルが求められます。

  • 積極的に話しかける
  • 傾聴、共感する
  • 相手の意見も尊重する
  • 丁寧でわかりやすい言葉遣いをする
  • 非言語コミュニケーションも活用する

これらのスキルを磨くことで、良好なコミュニケーションを築き、チーム医療における質の向上に貢献できます。

協調力

医療現場では、他職種との連携が欠かせません。協調力のあるリーダー看護師は、職種間の垣根を越えた連携を築き、質の高い医療を提供します。

協調力を高めるためには、まず相手の意見を尊重し、共感することが大切です。

また、困っているメンバーがいれば積極的に手を差し伸べ、ともに課題を解決していく姿勢も協調力の重要な要素です。

チームの一員として個人の業務にとどまらず、周囲の状況に常に目を配り、支援が必要な場面で率先して行動することで、チーム全体の効率と信頼関係を高められるでしょう。

指導力

指導力は、リーダー看護師がメンバーの成長を促し、チーム全体の能力を高めるために重要なスキルです。特に、新人や若手の看護師に対する指導は、彼らの専門的な成長を大きく左右します。

効果的な指導を行うためには、メンバー一人ひとりと向き合い、個別のニーズや可能性の見極めが大切です。

例えば、明確な目標設定を一緒に考えたり、個別指導を実施したりするのも効果的です。

また、定期的かつ建設的なフィードバックや、スキルアップにつながる研修機会の提供も効果的な手段だといえるでしょう。

リーダー看護師が適切に指導力を発揮できると、チームメンバーの専門性と自信を高め、結果として患者さまへの質の高い看護の提供につながります。

まとめ

リーダーシップとは、チームや組織の可能性を最大限に引き出し、目標達成に導く重要な力です。

看護の現場において、リーダー看護師の行動はチーム全体の士気やモチベーション、看護の質にまで影響を与えます。

コミュニケーション力、協調力、指導力は、効果的なリーダーシップを実現するために重要なスキルです。

これらのスキルは、日々の実践と継続的な学びを通じて磨かれていくもので、単に研修を受けるだけでなく、実際の臨床現場で意識的に実践する必要があります。

リーダー看護師として成長するためには、自己の強みを活かしながら、研修などを通して常に学び、改善する姿勢が必要です。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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