急性期看護とは?大切な3つのことや急性期看護のやりがいを紹介

公開日:2024/12/16 更新日:2024/12/16
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急性期看護では、重症度や緊急度が高い患者さまに専門的な医療を提供することが求められます。

患者さまが早く回復できるように、看護師には高度な医療知識やスキルが必要です。また、突然の入院や治療に不安を抱える患者さまとそのご家族に寄り添って対応します。

この記事では、急性期看護の重要なポイントややりがいについて詳しく紹介します。日々の業務に悩む方や急性期での仕事に興味を持つ方の助けとなれれば幸いです。

急性期看護とは?

急性期看護とは、病気やケガを発症したばかり、または手術の前後など、病状が重く、治療が必要な患者さまを対象としたケアのことです。

日本看護協会の調査によると、急性期病院の看護職員の配置は7対1が基準ですが、実際は5.9対1となっており手厚いケアをおこなっていることが明らかとなりました。

急性期ではより手厚く迅速な対応が求められるといえるでしょう。ここでは、急性期の患者さまの特徴や看護師の役割を解説します。

急性期の患者さまの特徴

急性期の患者さまには、重いケガや急な病気で治療を必要とする方がいます。手術やさまざまな処置が必要で、生命の危機に直面していることも少なくありません。たとえば、次のような病気の患者さまが急性期看護の対象です。

  • 急性心筋梗塞
  • 脳卒中
  • 急性腎障害
  • 重症感染症

回復期や慢性期とは異なり、意識障害やショック状態など病状が不安定なケースが多いのが急性期の患者さまの特徴です。

急性期の看護師の役割

急性期の看護師は、患者さまの状態を素早く把握し、適切なケアにつなげることが重要な役割です。具体的には、次のような役割があります。

  • 術後の全身状態の管理
  • 人工呼吸器やドレーンの管理
  • 検査や処置の介助

急性期の患者さまの状態は変化しやすいため、アセスメント力が求められます。また、医師やほかの医療スタッフとの連携によって、チーム医療で患者さまの治療に取り組むことが必要です。

また、ご家族へのサポートや説明も急性期の看護師にとって重要な役割のひとつです。ご家族は、突然の事態に不安を抱えていることが多いため、わかりやすい説明と心のケアが求められます。

患者さまとご家族の不安を少しでも和らげるために、安心感を与える声掛けや丁寧な対応が急性期の看護師には不可欠です。

関連記事:看護師で急性期病棟の経験なしでも急性期病棟で働ける理由4つ!向き不向きも解説

急性期看護の仕事内容と1日のスケジュール

急性期の看護師の1日は、次のようなスケジュールで進みます。

時間業務内容
8:00・出勤 ・担当患者さまの情報収集
8:30・朝礼 ・夜勤看護師からの申し送り ・患者さまへのあいさつ ・点滴や処置などの準備
9:00・検査出し ・手術出し ・バイタルサインの測定
10:00清拭や陰部洗浄などの清潔ケア
11:00交代で休憩
12:00・食前薬の配薬 ・血糖値の測定 ・配膳 ・食事介助と口腔ケア
14:00カンファレンス
14:30・バイタルサインの測定 ・創部の処置 ・看護記録
15:00・術後のお迎え ・術後のケア
16:30夜勤看護師への申し送り
17:00退勤

このスケジュールは一例です。患者さまの状態によってはバイタルサインの測定を繰り返したり、点滴の投与を何度もしたりしなければなりません。

また、患者さまの状態に応じて随時対応が必要であり、急変時には迅速な対応が求められます。急性期病棟では、患者さまの急変に備えるために、優先順位を考えたうえでの行動が重要です。

急性期看護に大切なこと

急性期看護では、重症な患者さまの対応で緊張する場面も多いため、心身のバランスを保つことが非常に重要です。

  • 気持ちを切り替える
  • 学ぶ姿勢を持ち続ける
  • 先を読んで行動する

日々、看護師は多くの患者さまに向き合うなかで精神的、または身体的な負担を感じることが少なくありません。そのため、自身のケアにも意識を向けながら、質の高い看護を提供することが大事です。

気持ちを切り替える

急性期病棟では、すべての患者さまが回復するわけではありません。なかには、亡くなったり、後遺症が残ったりすることもあります。看護師は気持ちをリセットして、目の前で必要とされているケアに集中することが求められます。

また、同僚とコミュニケーションを取り、お互いを精神的にサポートすることも重要です。心の負担を減らすためには、日々のケアのなかで感じたことを共有し合い、支え合う環境を作りましょう。

学ぶ姿勢を持ち続ける

急性期の現場では、新しい治療方法や薬剤が導入されます。医療機器もアップデートされるため、学び続ける姿勢が重要です。

看護師は、自ら積極的に学び、新しい知識を取り入れることで、患者さまに安全にケアを提供できるでしょう。たとえば、院外の研修や勉強会に参加することでスキルを向上させたり、先輩や医師からのフィードバックを受け入れたりして学ぶ姿勢も大切です。

また、自主的に専門書を読んだり、最新の医療情報を調べたりすることも効果的といえます。

先を読んで行動する

急性期の患者さまは、状態が急変するリスクが高いため、先を読んで行動することが大切です。

患者さまの状況をよく観察し、適切なタイミングでケアをおこなうためには、アセスメント能力が必要です。

具体的には、次のような情報をもとに患者さまの状態がどのように変化するのか予測しなければなりません。

  • バイタルサインの推移
  • 患者さまの表情・言動の変化
  • 人工呼吸器やドレーンなど医療機器からの情報

急変に備えて、必要な物品をあらかじめ準備しておくと、患者さまの命を守ることにつながります。また、チームで情報共有をおこない、迅速に対応できる体制を整えることも求められます。

これらの予測する力を養うためには、日々の業務のなかで経験を積み重ねて、状況に応じた判断を学んでいくことが大切です。

急性期看護のやりがい

急性期看護には、看護師としての学びや成長の機会がある一方で、責任が重く感じることもあります。

患者さまの急激な変化に対応しながら、少しずつ回復していく姿を見届けられるのは、やりがいといえるでしょう。

  • 急性期看護の学びが深い
  • 達成感や充実感を得られる
  • 提供した看護の成果を感じられる
  • 給与水準が高い

ここでは、急性期看護におけるやりがいや魅力について詳しく解説します。急性期看護を目指すために役立ててください。

急性期看護の学びが深い

急性期病棟では、ほかの病棟では学ぶ機会が少ないことを知ることができます。

たとえば、急変時の対応や医療機器の使用方法など、専門的な知識とスキルを得られることが急性期の看護師としてのやりがいのひとつです。

また、医師やリハビリテーションのスタッフなど多職種と連携するなかで、患者さまの治療やリハビリテーションなどの流れを理解できる点も貴重な経験といえます。

急性期看護で得た知識やスキルは、ほかの病棟や訪問看護など、さまざまな分野で応用可能です。急性期の経験が基礎となり、看護師としての自信を深め、将来のキャリアにも大きく役立つでしょう。

達成感や充実感を得られる

患者さまが回復していく姿を見られるため、急性期の看護師は達成感や充実感を得られ、モチベーションになります。

とくに、重篤な状態から回復した患者さまに対して、看護師のケアが貢献したと感じられる瞬間は、大きな喜びといえます。

このような経験が、看護師の方にとって仕事のやりがいを感じるために重要です。患者さまやご家族から感謝の言葉をもらえることも、仕事に対する充実感を強める要因です。

また、患者さまの信頼を得ることで、看護師としての自信が深まり、次のケアへの意欲がさらに高まります。感謝の言葉は、看護師にとって何よりの励みとなり、仕事の厳しさを乗り越える力を与えてくれるでしょう。

提供した看護の成果を感じられる

急性期では、看護師がおこなったケアの成果が早く現れることがあります。責任は大きいですが、チームで協力してケアすることで、患者さまの回復をサポートできることに喜びを感じます。

看護師のケアが患者さまの状態に良い影響を与えたとき、その成果を感じられるのは急性期看護ならではのやりがいです。また、迅速な判断と対応が求められる環境で、自分の成長を感じられることも魅力です。

こうした経験を積み重ねることで、看護師としての自信が深まり、患者さまに対してもより質の高いケアを提供できるようになります。

さらに、チーム全体で患者さまのケアに取り組むことで、医療スタッフ同士の信頼関係が築かれ、より良い医療を提供できるでしょう。

給与水準が高い

急性期病棟では、夜勤の回数が多かったり、手当がつきやすかったりするため、給与水準が高くなる傾向があります。具体的には、次のような手当が期待できます。

  • 時間外勤務手当
  • 危険手当
  • 特殊勤務手当

また、急性期では高い専門性と迅速な対応が求められるため、働く場所によってはそれに見合った給与が支給されることもあります。

給与面でのメリットは、看護師が長く働くモチベーションのひとつです。経済的な安定は、看護師にとって重要な要素であり、家族を支えることが可能になります。

また、高い給与はさらなる自己研鑽やスキルアップのための投資にもつながり、結果的にケアの質向上のきっかけになります。

急性期看護に向いている人

急性期看護に向いているのは、以下のような方です。

  • 迅速に対応できる看護師を目指している人
  • さまざまな診療科のスキルと知識を得たい人
  • 体力に自信がある人
  • チーム医療の一員として働きたい人
  • プレッシャーの中でも冷静に行動できる人
  • 多忙な環境でも効率よく仕事をこなせる人

急性期看護では、迅速な判断と行動が求められるため、冷静に状況を把握しすぐに対応できる方が向いています。

また、さまざまな診療科の知識を得る機会が多いため、幅広いスキルを身につけたいと考えている方にとっても、急性期は魅力的な職場です。チームで協力し合う環境であるため、コミュニケーションを大切にし、協力的に働ける方も適しているといえるでしょう。

急性期看護は幅広い知識とスキルを学べる場

急性期看護は、迅速な対応と幅広い知識、スキルを必要とするやりがいのある分野です。

患者さまの命にかかわるケアを通じて、達成感と成長を得られます。看護師としてのスキルアップを目指す方にとって、急性期病棟は学びが多い環境です。

また、急性期看護の経験を通して得たスキルは、ほかの看護分野でも活かすことができます。

緊急対応能力やアセスメント力など、急性期で培った能力は、看護師としてのキャリアにおいて強みとなります。急性期での経験は、将来のキャリアにおいても武器となり、ほかの分野でも高い評価を受けられるでしょう。

<参考サイト・文献>

「急性期看護実態調査」 結果|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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