看護師の大卒と専門卒での違い!給料の違いともったいないとされる理由

公開日:2024/07/17 更新日:2024/07/17
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「看護師になるには専門学校と大学どちらがいいの?」「それぞれのメリット・デメリットを知りたい」

これから看護師を目指す方は、どのような進学先が良いのか迷っているのではないでしょうか。今回はそのような方へ向けて「大卒の看護師と専門卒の看護師の違い」を中心にご紹介します。

看護師になったときに「こんなはずではなかった…」と後悔しないように、ぜひ最後までご覧ください。

看護師の大卒と専門卒の現状とは?

まずは大卒の看護師と、専門卒の看護師の現状をみていきましょう。

看護師の大卒と専門卒になる方法

大卒の看護師、専門卒の看護師になるためには「3年制の看護専門学校」もしくは「4年制の看護系大学」を経て、看護師の国家試験に合格する必要があります。

文部科学省では、専門職として必要な教育として「看護師課程」102単位(※)を設定しており「大学」「専門学校」に関係なくこの単位の取得が必須です。

なお、多くの看護系大学では、上記の102単位に加えて卒業に必要な学習項目をもうけています。卒業までに平均で126.8単位の取得を必要としているようです。

※単位とは:学修に要する時間をあらわす基準。授業を履修することで、決められた単位数を取得できる

看護師の大卒と専門卒の割合

日本看護協会による「2021年看護職員実態調査」では、専門卒の看護師の割合は「52.2%」大卒の看護師の割合は「18.5%」としています。内容は以下のとおりです。

【看護師の最終学歴】

回答者(名)割合(%)
看護師3年課程2,67152.2
看護系大学94618.5

参考:2021年看護職員実態調査|日本看護協会(看護師3年課程と看護系の大学の割合を抜粋して作成。合計は100%とならない)

この調査では、看護師全体として専門卒の割合が高いとされています。

ですが、近年は看護大学の数も少しずつ増えてきており、今後は大卒の看護師の割合が高くなることが予想されています。

看護師の大卒と専門卒の違いとは?

看護師として働くうえで大卒と専門卒でどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いをまとめました。

看護師の大卒の特徴

看護系大学は、看護技術や知識をはじめ、関連するさまざまな分野を学べます。大卒の看護師の特徴は以下のとおりです。

  • 大学院に進学できる
  • 給料が高い傾向である
  • 就職に有利なケースがある

看護系大学を卒業することでキャリアの可能性が広がります。

看護師のキャリアのひとつに、専門分野のプロフェッショナルである「専門看護師」があります。専門看護師の条件に「大学院修士課程の修了」があり、大卒であることは進学に必須です。

大卒の看護師は給与面でも優遇されています。「日本看護協会」によると、大卒の看護師の初任給は、専門卒の看護師とくらべて平均6,000円〜8,000円ほど上回っています。

また、就業先によっては、就職や出世などに学歴が考慮されるケースもあるでしょう。

看護師の専門卒の特徴

専門学校は、臨床の現場に近い形で技術や知識を学べます。専門卒の看護師の特徴は以下のとおりです。

  • 現場に順応しやすい
  • 臨床能力が高い傾向である
  • 病院によっては出世しづらいケースがある

大卒の看護師の方に比べて、専門卒の看護師の方は就職や昇進のときに不利になるケースがあります。

理由としては、大卒では「学士」が取得できますが、専門卒では「専門士」になり、学歴に違いがあるからです。

一方で、専門学校は看護技術に関する授業がメインであり、専門卒の看護師の方は現場になじみやすく順応しやすく、臨床能力が高いといわれています。

また、専門学校は、文部科学省がさだめた内容を3年間で学びます。大学に比べて、専門学校は過密スケジュールになりやすいですが、こうした困難を乗り越える力は看護師になってからも役立つでしょう。

看護師の大卒と専門卒で給料の違いはある?

日本看護協会は「2023 年病院看護実態調査」で、学歴ごとに看護師の初任給をしらべています。それぞれの初任給額は以下のとおりです。

大卒の看護師(円)専門卒の看護師(円)
基本給与額(円)210,963204,950
税込給与総額(円)274,752266,558

参考:2023年病院看護実態調査|日本看護協会

「基本給与額」とは、夜勤手当や残業代などを含まない額です。また、「税込給与総額(※)」は、さまざまな手当を含む社会保険料や所得税などがひかれる前の額です。

初任給では基本給与額で「6,013円」、税込給与額で「8,194円」大卒の看護師が高くなっています。それぞれの給与についてさらに詳しくみていきましょう。

(※)税込給与総額には、通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業にもとづく手当など各種手当を含む。

大卒看護師の給料

日本看護協会の調査によると、大卒の看護師の平均初任給は「274,752円」です。

また、「設置主体」「病床数」によっても平均初任給に違いがあります。以下のとおりです。

【病床数別】大卒の看護師の平均初任給

平均基本給与額(円)平均税込給与総額(円)
99 床以下206,198268,265
100~199床208,479272,320
200~299床211,862274,566
300~399床217,545282,470
400~499床217,470284,818
500 床以上219,536285,528

参考:2023年病院看護実態調査|日本看護協会

【設置主体別】大卒の看護師の平均初任給

平均基本給与額(円)平均税込給与総額(円)
国立213,587283,065
公立219,897277,067
日本赤十字社223,643285,104
済生会216,668281,700
厚生連209,310266,801
その他公的医療機関207,600279,616
社会保険関係団体229,064282,874
公益法人208,464273,694
私立学校法人217,168293,243
医療法人207,276280,230
社会福祉法人208,352280,230
医療生協202,659254,631

参考:2023年病院看護実態調査|日本看護協会

平均初任給は、病床数が多くなるほど高くなっています。また、設置主体では「社会保険関係団体(※)」「日本赤十字社」の初任給額が高く、「医療生協(※)」と比べると約2万円以上の差があります。

専門卒看護師の給料

日本看護協会による専門卒の看護師の平均初任給は「266,558円」です。病床数や設置主体ごとの平均初任給は以下をご覧ください。

【病床数別】専門卒の看護師の平均初任給

平均基本給与額(円)平均税込給与総額(円)
99 床以下200,568260,415
100~199床203,077265,219
200~299床205,765266,325
300~399床210,863272,834
400~499床210,775274,907
500 床以上212,613276,437

参考:2023年病院看護実態調査|日本看護協会

【設置主体別】専門卒の看護師の平均初任給

平均基本給与額(円)平均税込給与総額(円)
国立204,238271,430
公立212,444266,969
日本赤十字社217,501275,480
済生会209,516272,118
厚生連201,167254,126
その他公的医療機関198,267272,069
社会保険関係団体219,855274,393
公益法人202,696266,219
私立学校法人209,945284,309
医療法人202,410264,727
社会福祉法人202,061273,147
医療生協198,628248,830

参考:2023年病院看護実態調査|日本看護協会

大卒の看護師とおなじく、病床数が多いほうが給与は高くなっています。設置主体ごとの平均初任給は「社会保険関係団体」「日本赤十字社」が高い傾向にあります。

看護師になるには大卒と専門卒はどっちがいいの?

では、看護師になるには大卒と専門卒どちらがよいのでしょうか。「大卒の看護師はもったいない」「専門卒の看護師は使えない」と言われる理由を解説する形で疑問におこたえします。

大卒看護師はもったいないと言われる理由

看護師免許は大学、専門学校をはじめとしたさまざまな形で取得できます。また、看護現場では学歴による仕事内容の差はありません。

同じ資格を取得して、仕事内容が変わらない場合は、大学では学費や年数がかかりやすいため「大卒の看護師はもったいない」と言われると考えられます。

しかし、先述の通り大卒の看護師は、給与をはじめとした条件面で優遇されやすいといったメリットがあります。また、大学院へ進学しやすいことから、看護師としてのキャリアの可能性をひろげやすいことも特徴です。

将来的なキャリアをひろげるために看護大学を選ぶのもよいでしょう。

また、実際に経験を重ねると学歴と同程度以上にこれまでの職場でどのような経験を積み、どのような知識・技術を身に着けたかが重要視されます。既に看護師として就労されている方は、今後のキャリアのためにどのような経験・技術を身に着けるかを考える方が結果として望むキャリアアップができるでしょう。

専門看護師は使えないと言われる理由

看護師の業務は、臨床現場での患者さまへのケアだけではありません。就業先によりますが、看護研究やレポートを作成する機会もあります。

看護専門学校でも「看護研究」を学ぶ機会はありますが、看護系大学に比べると学べる内容は異なります。「専門卒の看護師は使えない」といったネガティブな情報がでてくるのもそういった理由が考えられるでしょう。

一方で、看護専門学校は臨床現場を意識した学習内容が多く「即戦力になりやすい」といった特徴もあります。実際に、臨床現場で活躍している専門卒の看護師の方は数多くいます。

また、学費面においても専門学校のほうが費用をおさえやすいのもメリットです。臨床現場を意識して「はやく働きたい」「学費をおさえたい」といった方は看護専門学校への進学を考えても良いでしょう。

まとめ

この記事では、「大卒の看護師」「専門卒の看護師」の違いについて解説しました。

大卒の看護師と専門卒の看護師は、どちらにもよさがあり「どちらがいいか」といった疑問に答えはありません。

それぞれの特徴をふまえて「自分がどのような看護師になりたいか」を考えてみると良いでしょう。

参考サイト・文献

文部科学省高等教育局長へ要望書提出 専門職として必要な教育内容の確保を|日本看護協会 

平成30年度 看護系大学の看護師・助産師・保健師学校における単位数(追加資料)|文部科学省

2019年度 看護系大学に係る基礎データ|文部科学省  

専門看護師|日本看護協会 

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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