大卒看護師の平均年収は?年収を上げる5つの方法と専門卒との違いを解説

公開日:2024/03/12 更新日:2024/11/15
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「大卒看護師の給料はいくら?」「年収をアップする方法を知りたい」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

年収はどれくらいなのか、大卒と専門卒で違いがあるのかなど詳しく知ってから転職したいと考える方もいるはず。

この記事では、大卒看護師の平均年収や専門卒との違い、さらには年収を上げる方法を詳しく解説します。大卒看護師の平均年収にかかわる悩みを解決して、年収アップを実現しましょう。

大卒看護師の平均年収の実態|1年目の平均年収は約374万円

まずは、大卒看護師の平均年収の実態を以下の2つにわけて紹介します。

  • 平均年収
  • 初任給

1年目の大卒看護師の実態に絞って紹介するため、転職活動に役立てましょう。

大卒看護師の平均年収

日本看護協会が公開した「2020年病院看護実態調査」によると、1年目の大卒看護師の平均年収は約374万円です。

この金額には賞与のほかに、通勤手当や住宅手当、夜勤手当(2交代:月4回、3交代:月8回を想定)などの各種手当てが含まれています。

ただし、病院や施設によっては基本給が高かったり、手当てがなかったりして年収の増減があるため、あくまでも参考程度としてください。

大卒看護師の初任給

先述した資料によると、大卒看護師の初任給は以下のとおりです。

 平均基本給与額平均税込給与総額
大卒看護師20万8,918円27万292円

出典元:2020 年 病院看護実態調査|日本看護協会

また、平均基本給与額とはいわゆる「手取り」であり、平均税込給与総額から税金や社会保険料などが引かれて手元に入ります。

平均税込給与総額と手取りには約7万円の差があり「税金や社会保険料でこんなに引かれるの?」と感じる方は多いでしょう。

大卒看護師の給料の違い

ここでは、大卒看護師の給料の違いを以下の3つにわけて紹介します。

  • 都道府県
  • 設置主体
  • 病床の規模

それぞれを詳しくみていきましょう。

都道府県による違い

都道府県による大卒看護師の初任給の違いをみていきましょう。初任給が高い・低い都道府県をそれぞれ5つ紹介します。

<初任給が高い都道府県>

 都道府県平均基本給与額平均税込給与総額
1位千葉県21万7,598円29万6,568円
2位東京都21万5,298円29万1,903円
3位大阪府21万6,883円28万9,243円
4位神奈川県21万9,249円28万7,529円
5位静岡県21万3,419円28万5,534円

<初任給が低い都道府県>

 都道府県平均基本給与額平均税込給与総額
43位熊本県21万7,598円24万6,529円
44位秋田県21万5,298円24万2,188円
45位愛媛県19万9,455円24万1,352円
46位鹿児島県19万7,316円23万8,376円
47位宮崎県19万104円23万4,096円

出典元:日本看護協会調査研究報告(いずれも平均税込給与総額で判断)

大卒看護師の初任給は、千葉県や東京都などの都市部で高い傾向であり、宮崎県や鹿児島県などの地方で低い傾向です。初任給が低い5つの都道府県のうち3つに九州が入っています。働く地域によって違いがあるのです。

設置主体による違い

次に、設置主体による違いをみていきましょう。全15の設置主体を上位、下位それぞれ5位までを紹介します。

<大卒看護師の初任給が高い設置主体>

 設置主体平均基本給与額平均税込給与総額
1位個人20万9,350円29万6,621円
2位社会保険関係団体22万8,194円28万5,736円
3位私立学校法人21万6,734円28万3,523円
4位日本赤十字22万3,902円28万2,662円
5位社会福祉法人20万8,727円27万7,584円

<大卒看護師の初任給が低い設置主体>

 設置主体平均基本給与額平均税込給与総額
11位会社20万9,642円26万7,374円
12位公益法人20万7,191円26万6,390円
13位医療生協20万5,398円26万2,031円
14位その他公的医療機関20万4,440円25万8,242円
15位厚生連20万7,792円25万1,181円

出典元:日本看護協会調査研究報告(いずれも平均税込給与総額で判断)

大卒看護師の初任給を設置主体別でみると、上位と下位の差は約4万円です。

ただし、回答数が医療法人で1,550件に対して、個人は24件と少ない現状です。

そのため、このような給料が高いところは探すのは難しいでしょう。転職支援サイトを使うと、豊富な求人から地域や給料など条件を入力するだけであなたに合った求人を検索できるため、ぜひ活用してみてください。

病床の規模による違い

ここでは、大卒看護師の初任給を病院の規模による違いでみていきます。

病床数平均基本給与額平均税込給与総額
99床20万4,327円26万6,576円
100~199床20万7,240円26万8,509円
200~299床21万0,184円27万0,084円
300~399床21万3,683円27万5,679円
400~499床21万2,452円27万2,159円
500床以上21万6,726円27万8,947円

出典元:日本看護協会調査研究報告(いずれも平均税込給与総額で判断)

病床数が多くなると、初任給は高くなる傾向です。

というのも、病床数が多くなると患者さまの来院数が増えたり、提供する医療が高度となる傾向であったりするためです。

高い給与を得たいと考えている方は、病床数で判断するのも一手といえます。

大卒看護師1年目の賞与は寸志程度?

大卒看護師1年目の夏の賞与は寸志程度です。

というのも、通常、賞与は1月~6月までの病院や施設への貢献度や在籍している期間などで決まるためです。

評価の対象期間である1月~3月まではまだ看護学生であり、期間の半数しか在籍していないため、病院への貢献度は高くないと判断されます。

ですが、1年目の冬の賞与から満額もらえる可能性があります。

さらに、貢献度は看護師長が判断するケースが多いため、日々の業務に一生懸命に取り組んだり、看護ケアを丁寧にしたりすることが大切です。

所属長に業務をアピールして、賞与をアップさせることで高年収につなげましょう。

大卒と専門卒・ほかの産業との平均年収の比較

ここでは、大卒看護師との平均年収を比べます。

  • 専門卒看護師
  • ほかの産業

それぞれ平均年収にどのような差があるのかみていきましょう。

専門卒との平均年収の比較

先述した資料によると、1年目の専門卒看護師の平均年収は約364万円です。

1年目の大卒看護師の平均年収は約374万円であるため、約10万円の差があります。2年目以降の昇給する幅も、一般的には大卒看護師の方が上がりやすいとされています。

生涯の年収に換算すると、数百万円以上の差が生じる恐れがあります。

ですが、年収だけをみて大卒看護師を目指すのは控えてください。専門学校よりも大学のほうが学費の総額は高く、就職したあとの業務への取り組みや役割によっては、大卒看護師の評価を専門卒看護師が大きく上回れるためです。

学べることや経験できることなどを見比べて大学、もしくは専門学校を選ぶと良いでしょう。

ほかの産業との平均年収の比較

国税庁の調査によると、ほかの産業の平均年収は461万円とされており、大卒看護師の方が約40万円高いです。

女性に限定すると、大卒看護師の平均年収は506万円であるのに対して、ほかの産業の平均年収は約394万円。ほかの産業で働く女性よりも女性看護師のほうが年収は約110万円高いです。

看護師は国家資格であり、患者さまに注射や術直後のケアなどの診療の補助を行います。資格を持たなければできない業務を担い、かつ専門性があるためほかの産業よりも高い年収であるといえます。

大卒看護師の年収やキャリアにおけるメリット

専門学校(高卒+3年課程)や看護系の大卒を卒業、もしくは准看護師を取得したあとに所定の養成機関を卒業し国家資格を取得できると看護師になれます。

  • キャリアを認められやすいケースもある
  • 給与や待遇で有利になりやすい
  • 転職先の選択肢が多い
  • 専門看護師になるまでの期間が短い

年収やキャリアにおける大卒看護師の上記4つのメリットを詳しく解説します。

キャリアを認められやすいケースもある

一般的に、専門卒看護師よりも大卒看護師のほうがキャリアを認められやすいです。

大卒看護師は看護研究や、看護学以外の一般科目の単位も取得するためです。大学で学ぶと、チームをまとめて指導できる能力を高められます。

さらに、病院や施設からキャリアを認められやすく、管理者や専門職へ昇進したり、看護教育者や研究者になったりできます。

ただし「専門卒看護師は実務ができるけど、大卒看護師は実務が苦手」という声を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

そう言われる理由は、看護系の大学は座学が中心で、専門学校は看護実習に多くの時間をかけているためです。

入職したばかりの頃は実務能力に差があっても、働き始めると実務経験を積めるためその差はすぐに埋められるでしょう。

給与や待遇で有利になりやすい

大卒看護師は給与や待遇で有利になりやすいです。

大卒看護師は専門卒看護師よりも初任給が高いことを紹介しました。大卒看護師の給与を高く設定している病院や施設が多い傾向です。

ただし、すべてのところで専門卒看護師よりも大卒看護師のほうが給与は高く、待遇が有利とは限りません。そのため、一度ホームページや募集要項などを確認しましょう。

転職先の選択肢が多い

転職先の選択肢が多いのも大卒看護師のメリットです。

病院によっては応募条件を「大卒限定」としていることがあるためです。とくに、専門知識が求められる研究機関や学校の職員、法人などでは大卒以上が条件のひとつである場合があります。そのため、大卒看護師は転職先の選択肢が多いといえます。

専門看護師になるまでの期間が短い

大卒看護師のメリットは、専門看護師になるまでの期間が短いことです。

専門看護師になるための要件のひとつに「実務経験が5年以上」があります。ほかにも、大学院に2年間通わなければなりません。

大卒看護師は、大学院に通うと専門看護師の認定審査の受験資格を得られます。一方で、専門卒看護師の場合は、以下の方法で専門看護師を目指します。

  • 通信制大学で学士を取得する
  • 専門卒でも受験できる大学院を受験する

大学院には独自の審査があります。審査をパスしなければ大学院の入試を受けられないため、専門卒看護師は大卒看護師と比べると専門看護師になるためにはやや遠回りといえます。

大卒看護師が年収を上げる5つの方法

大卒看護師が年収を上げる5つの方法を解説します。

  • 時間外勤務・夜勤業務を多くこなす
  • 専門看護師や認定看護師の資格を取得する
  • 経験年数を積む
  • 大規模の病院に転職する
  • 東京(首都圏)の病院に転職する

それぞれの方法を実践して、高収入を目指しましょう。

時間外勤務・夜勤業務を多くこなす

大卒看護師に限らず、看護師は時間外勤務や夜勤業務を多くこなすと手当がもらえるため年収が上がります。

ただし、収入を上げることばかりを考えて時間外勤務や夜勤の業務を増やすと、体調を崩す恐れがあります。生活リズムが乱れたり、長時間働くことにより身体的・精神的にストレスがかかったりするためです。

そのため、スケジュール管理をおこない自身の体調と相談しながら、時間外勤務や夜勤の業務をおこないましょう。

専門看護師や認定看護師の資格を取得する

専門看護師や認定看護師の資格を取得すると、資格手当や役職手当が給与に追加されます。さらに、専門性を発揮できると大幅な増額が見込めるでしょう。

たとえば、以下のようなケースで専門性を発揮できます。

  • 感染管理の認定看護師になり院内全体に感染管理の教育
  • 急性・重症患者看護の専門看護師になり集中治療室にかかわる診療報酬を獲得
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師になり一般市民に向けた講演会を開催

新たな診療報酬を獲得したり、病院や施設の認知度を高めたりなど「この病院になくてはならない存在」になれると、高年収を期待できるでしょう。

ただし、専門看護師と認定看護師の資格を取得するのは容易ではありません。

  • 専門看護師の数:3,155人(0.2%)
  • 認定看護師の数:2万3,260人(1.7%)

2022年12月時点で看護師数130万人のうち上記の人数のみ資格を取得しています。簡単には取得できない資格であるからこそ、目指すべき資格であり貴重な存在であるため年収が上がりやすいといえます。

経験年数を積む

看護師の給与は年功序列の給与形態であり、長く働くほど年収が高くなる傾向です。看護師の年収のピークは55~59歳です。

経験年数を重ねていき管理者になれると、基本給がアップし役職手当がつきます。

ただし、管理職は狭き門です。さらに、近年、病院や施設によっては経験年数を重ねた非管理職者の給与を見直す動きもみられます。

今後はいわゆる「窓際社員」と言われるような、ただ経験年数を積むだけの働き方では、給与が下がる恐れがあります。

そのため、自身のキャリアを見つめ直し、日々の業務に取り組みましょう。

大規模の病院に転職する

大卒看護師が年収アップさせる方法のひとつは、大規模の病院に転職することです。病院の規模が大きくと、年収も高くなるためです。

現状の年収に不満がある方やもっと年収を上げたいと考えている方は、大規模の病院への転職を検討してください。

訪問看護ステーションは小規模な事業所が多いものの、在宅医療への移行が進められ需要が高まっているため高い給与を期待できます。

実際に、2010年と比較すると、2022年の事業所数は約2.5倍に増加しています。

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東京(首都圏)の病院に転職する

東京都や千葉県、神奈川県といった首都圏の病院に転職すると、現在の年収よりも数百万円単位での増額が見込める可能性があります。

地方と比べ、首都圏の病院や施設は給与水準が高い傾向にあるためです。実際に、看護師で給与が高いのは1位が千葉県であり、2位東京都と続きます。

首都圏の病院は多くの医療機関があるため、転職の選択肢が広がるだけではなく、最先端の医療に触れられるためスキルアップの機会となるでしょう。

大卒看護師の年収は状況により違う!納得いく職場に転職しよう

大卒看護師の平均年収(1年目)は約374万円です。大卒看護師は、専門的な資格を取ったり、経験年数を積んだりすることで年収アップが期待できます。

ただし、勤めている病院や施設によって年収の事情は大きく異なり、数百万円単位で差が開く可能性があります。

年収をアップさせるためには転職も有効な手段です。自身が納得のいく職場に転職しましょう。

参考サイト・文献

2020 年 病院看護実態調査|日本看護協会

1平均年収|国税庁令和4年度 訪問看護ステーション数 調査結果|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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