看護師の退職は何カ月前に伝えるの?円満退職への切り出し方を解説
「訪問看護ステーションに転職したい!退職は何カ月前に伝えたらいいの?」「円満退職できる切り出し方を知りたい」などと、悩みや疑問がある看護師の方は多いかもしれません。
日本看護協会「2022年病院看護実態調査」の結果によると、正規雇用の看護職員の離職率は11.6%とされています。看護師の方が退職を考える理由はさまざまです。訪問看護ステーションやほかの施設への興味。人間関係などあるでしょう。
しかし、理由はどうあれ退職すると決めたら円満退職したいと考えるものです。
そこでこの記事では、看護師の方が退職を伝えるのは何カ月前か、また円満退職に向けた切り出し方を解説します。お世話になった職場を円満退職するために、ポイントを押さえましょう。
看護師の退職は3カ月前に伝える!理由3つ
看護師の方の退職は、3カ月前に伝えましょう。
法律的には、14日前に伝えれば問題ありません。しかし、看護師の方の場合は14日前であれば、トラブルが発生する恐れがあります。3カ月前に伝えたほうがいい理由は下記3つです。
- 退職前の手続きがスムーズに進むため
- 業務の引き継ぎがあるため
- お世話になった方へのあいさつ回りがあるため
ほかにも、就業規則や院内の暗黙のルールを把握すると、円満退職につながりやすいでしょう。
退職前の手続きがスムーズに進むため
退職までは多くの手続きをしなければなりません。
事務的な手続きだけでも、雇用保険や健康保険、退職金の手続きなどさまざまです。さらに、病院によっては人事課や経理課のスタッフもかかわるため、退職前の手続きには時間を要します。
そのため、余裕を持って進められるように3カ月前に退職の意向を伝えたほうが円満な退職につながるでしょう。退職までには8つのステップを踏まなければなりません。下記のページで具体的に解説するため、参考にしてください。
関連記事:看護師の退職ガイド!円満退職までの流れを8ステップで解説
業務の引き継ぎがあるため
看護師の方は、委員会活動やプリセプターなど所属するところにより役割があります。年度末の退職であれば、新しい体制で委員会活動が動くため、引き継ぎが不要かもしれません。
しかし、年度途中での退職は、業務の引き継ぎは必須といえます。後任となる看護師の方は、ほかの役割に加え、新しい役割を担わなければなりません。そのため、期間に余裕を持って引き継ぎをしましょう。
引き継ぐ内容や進捗状況がわかる資料があれば、スムーズに業務を引き継げます。
お世話になった方へのあいさつ回りがあるため
退職前にお世話になった方へのあいさつ回りも欠かせません。
経験年数が長い場合や異動経験が多い場合は、お世話になった方もたくさんいるでしょう。「退職日にあいさつ回りをしよう」と考えている方は注意してください。なぜなら、退職日は思いのほか忙しく、あいさつできない恐れがあるためです。
ご利用さまの状態で忙しい場合もあれば、勤務ではない場合もあり、あいさつができません。社会人としてのマナーを守るために、退職前にあいさつ回りをしましょう。
看護師が円満退職できる切り出し方
現在の職場を退職すると決めても、なかなか切り出せないものです。引き止められにくい切り出し方を解説します。
- 「〇月に退職を希望します」とはっきり述べる
- 「引き継ぎをするため迷惑をかけないこと」をしっかり伝える
- 最初に直属の上司に報告する
- 現状の不平や不満の内容は避ける
- ネガティブな内容であれば「一身上の都合」とする
これら5つに注意した切り出し方であれば、円満退職できるでしょう。
「〇月に退職を希望します」とはっきり述べる
退職の時期をあいまいにすると、伝えられた直属の上司も困ります。なぜなら、直属の上司は、看護部長や人事部長などに報告しなければならないためです。具体的に「〇月に退職を希望します」とはっきりと切り出しましょう。この際に、就業規則の確認を忘れないでください。
はっきりと切り出して就業規則に則っていると、上司も引き止めにくくなります。退職の希望日があいまいであれば、退職について繰り返し話合わなければなりません。
そのため、具体的な日程を伝えて、退職する明確な意思を述べましょう。
「引き継ぎをするため迷惑をかけないこと」をしっかり伝える
経験年数を重ねると、所属する部署内だけではなく、院内・事業所内で役割がある看護師の方もいるでしょう。
役割が多い看護師の方ほど「引き継ぎをするため迷惑をかけないこと」をしっかり伝えてください。退職が決まったあと、実際に引継ぐポイントは下記の3つです。
- 最終出勤日から逆算して引継ぎの準備をする
- 後から確認できる引き継ぎ資料を作成する
- 誰が聞いてもわかるように引き継ぐ
3つのポイントを踏まえていれば、引き継ぎで迷惑をかけないでしょう。引き継ぎの資料には、現状と今後の方針、そのほかの注意点を記載してください。後任者が困らないような準備が大切です。
最初に直属の上司に報告する
まずは、直属の上司に報告します。看護師の方の場合は、看護師長となることが多いでしょう。
この時点では、退職届の準備は必要ありません。なぜなら、退職が決定したわけではなく、あくまで報告のみであるためです。基本的にはメールやSNSではなく、口頭で直接伝えましょう。
また、上司の仕事が落ち着く時間帯に報告することや、周囲に誰もいないことを確認するなどの配慮を忘れないでください。朝のうちに「本日報告したいことがあるため、時間を作ってもらえませんか?」などと断りを入れておくと、スムーズに報告できるでしょう。
現状の不平や不満の内容は避ける
上司に報告する際には、現状への不平・不満ばかりを伝えると円満退職できません。本当の理由が「給料が安いから」「上司と合わないから」などの内容であっても、そのまま伝えるのは控えてください。
なぜなら、退職の意思を伝えてから、実際に退職するまで数カ月働くためです。不平・不満ばかりを伝えると退職までの数日間が居づらくなる恐れがあります。
ネガティブな内容であれば「一身上の都合」とする
退職を上司に伝える際には「なぜ退職をしたいと考えているのか」と退職の理由を聞かれます。
ネガティブな内容であれば「一身上の都合」とするといいでしょう。この理由であれば、上司は引き止めにくくなり、退職についてこれ以上は聞かれません。
さらに、ネガティブな内容をそのまま伝えると、よく思わない上司もいます。在籍期間が数カ月であっても、数年であっても、直属の上司はお世話になった方に変わりありません。マナーを守った配慮が必要であるといえます。
看護師が退職を申し出るのに適した時期
円満な退職をしたいと考える看護師の方は、退職を申し出る時期を間違えてはいけません。退職に適したと考えられる時期は下記の4つです。
- 年度末
- 人事異動の時期
- 看護師の求人が増える時期
- ボーナスの支給後
それぞれの時期がなぜ退職に適しているのか、具体的に解説します。
年度末
最も退職に適した時期は年度末といえるでしょう。
なぜなら、年度末で退職する人数を確保するために、病院や事業所は採用を進めているためです。実際に、多くの看護師の方が年度末に退職する傾向にあります。
次年度の入職数があらかじめ確保されている場合が多いため、ほかの時期に比べて退職しやすいです。
さらに、年度末に退職すると、次の就職先で4月入職が可能です。4月入職はメリットが多いです。訪問看護ステーションや病院などの求人数が豊富であるため、条件がそろった転職先を見つけられるかもしれません。さらに、採用者に向けたオリエンテーションを受けられ、ほかの中途採用者とのつながりができるでしょう。
年度末の退職であれば、円満な退職だけではなく、安心できる転職につながります。
人事異動の時期
人事異動の時期であれば、看護部長や人事部長が所属部署ごとの状況を把握しているため、退職による欠員をすぐに補充できます。ほかの時期に比べると、退職による手間が少なく、調整もスムーズです。
訪問看護ステーションや病院によって人事異動の時期は異なります。異動時期を把握したうえで、退職時期を検討しましょう。ただし、退職後すぐ転職する予定の看護師の方は、4~6月の退職は避けてください。
その理由は、病院や事業所おいて、4~6月は新年度に向けて動き始めたころであり求人数が減るためです。求人数が減ると、おのずと好条件の職場も減ります。また、新入職のスタッフの教育やオリエンテーションなど、新体制となり慌ただしい時期でもあります。
そのため、退職は人事異動の時期を考慮しつつ、スムーズに転職できるよう時期で調整しましょう。
看護師の求人が増える時期
訪問看護ステーションや病院の求人数が増える時期の退職であれば、選択肢が増え、希望に合った転職先を見つけやすいです。退職する前に転職先が決まっていると、その事実を退職理由にできるため引き止められずスムーズに退職できます。
そのため、求人が増えるといわれる1~2月や7~10月を選びましょう。
ボーナスの支給後
ボーナス支給後も、円満退職ができる時期であるといえます。
なぜなら、ほとんどの病院や事業所でボーナス後に退職する看護師の方が一定数おり、あらかじめ募集をかけているため人員を確保しやすいためです。
ボーナス支給後の退職であれば、収入が確保できます。ただし、ボーナスのもらい逃げと思われないように、退職が決定したあとも積極的に働き、業務への貢献を忘れないでください。
強い引き止めにあったら退職できないの?
強い引き止めにあっても退職できます。看護師の方が退職を伝える際、強く引き止められることはある程度覚悟しておくべきです。
なぜなら、訪問看護ステーションや病院は人材が不足している状況であるためです。日本看護協会が公開している「看護師等(看護職員)の確保をめぐる状況」では、2022年度の看護師・准看護師の有効求人倍率は2.2倍とされています。全職業の有効求人倍率は1.19倍です。
つまり、多くの訪問看護ステーションや病院で看護師が不足している状況であり、新しい人材を確保しにくい現状です。新しい人材を確保できた場合でも、業務に慣れて戦力となるにはある程度の時間を要します。
そのため、上司は引き止めたほうが、人材の流出を防げ、戦力となり貢献し続けてもらえると考えています。
強く引き止められたことを断ったうえで退職すると、円満な退職は難しくなる恐れがあります。強い引き止めにあっても円満退職をしたいと考える方は、下記のページで詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:看護師の退職で強い引き止めにあう理由10選!退職しやすい理由を解説
看護師が退職するときに菓子折りはどこまで渡せばいいの?
退職するときの菓子折りに悩む看護師の方もいます。「どこまで渡すべきなの?」「どのような菓子折りを渡すといいの?」など悩む方もいるでしょう。
退職が決まっても、最後の配慮を忘れないでください。詳しくは下記のページで解説しているため、円満退職をしたい看護師の方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:看護師の退職時の菓子折りはどこまで渡す?渡すときの8つの注意点も解説
看護師の退職は3カ月前に伝えて、円満退職を目指そう
看護師の方の退職は、3カ月前までに直属の上司に伝えると、業務の引き継ぎがうまく進み、退職の手続きもスムーズにできます。
しかし、退職をうまく切り出せない看護師の方もいます。その際は、「〇月に退職を希望します」とはっきり述べ、「引き継ぎするため迷惑をかけないこと」をしっかり伝えてください。退職希望の時期をあいまいにしたり、ネガティブな内容を伝えたりすると、円満に退職できない恐れがあります。
さらに、退職の時期を検討すると、お世話になった職場に迷惑をかけずに済みます。今回の記事で紹介したことを実践し、円満退職を目指しましょう。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。