在宅で心臓マッサージ?看取れた家族が、お通夜で語った言葉
膀胱ガンを患った90代男性利用者さん宅に、毎日通っていた嶋口さん。危篤状態の時、息子さんが死に目に間に合うよう、心臓マッサージをすることに。無事看取ることができた息子さんが、お通夜で語った言葉とは?
インタビューご協力者
嶋口 みどり
看護師
グリーンメディ訪問看護ステーション 明大前 管理者
嶋口さんが青森で訪問看護をしていた時のこと。お医者さんの利用者さんで、奥さんはすでに亡くなっており、薬剤師の娘さんと二人暮らしをしていました。息子さんも北海道大学で病理の先生をしているという医療関係一家。
その方は90歳を超えていて、膀胱ガンを患っていました。
毎日お家に行ってご飯も食べられない中、なんとか食べさせていたという嶋口さん。
娘さんも仕事に行って一人になってしまうので、
ヘルパーや看護師が入って半年ほど看ていきました。
ある日、
「具合悪くなったので来て下さい」
と呼び出され、吸引をしていたところ、意識が落ちてしまいました。
すると、今から息子さんが来るとのこと。
それで
「存命のために心臓マッサージをしてください」
と言われ、二人がかりですることに。
病院勤務時代を思い出しながら、在宅でまさかの心臓マッサージをしたと言います。
しばらくして息子さんが駆けつけ、なんとか死に目に間に合うことができました。
お通夜に伺うと、息子さんが
「最期を自宅で迎えることができたのは、訪問看護師さんのお陰です。
本当に良かったです」
と、弔問のお客さんの前でお話をしてくれました。
その姿がとても嬉しく、今でも印象に残っているそうです。
病院では自分の担当でも、患者さんが亡くなった瞬間から
ベッドメイキングを始めるなど、忙しなく業務をしていかなければいけません。
しかし在宅では、自分がずっと看ていると、
「この方が生きてきた間はわからないけれども、最期を看取るのは自分だ」
という感覚になる、と嶋口さんは言います。
お通夜にまで参列し、家族と一体になる瞬間に立ち会うことができるのだ、と。
お会いできたご縁に感謝しながらご家族と一緒に涙を流し、
死ぬということがいかに尊いかをダイレクトに感じることができる。
ターミナルにこそ、在宅の魅力が集約されている
と感じることができるエピソードですよね。
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