「在宅は無理」の先にある道は? 訪問看護が模索する可能性
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大病院の院長だった80代の利用者さん。先生たちが口を揃えて「在宅は無理」と言う中、本人の強い意思で在宅へ。厳しいサポートを乗り越え、お看取りができた時に学んだこの仕事で最も大事なこととは?
インタビューご協力者
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阿多 芙美代
理学療法士
あおい訪問看護ステーション 責任者
阿多さんが印象深かったというのは、あおい訪問看護ステーションとして最初に受け入れをさせて頂いた利用者さん。
80歳を超えている男性だったものの、実はある大きな病院の院長先生だったんだとか。
その方の部下にあたる病院の先生たちは口をそろえて、
「在宅は絶対に無理だ」
と言うほど、末期の状態でした。
それでも本人の意思はとても強く、
「俺は絶対に病院で死にたくない。家に帰る。」
と言っていました。
その思いに根負けし、訪問看護と訪問リハビリ、ケアマネージャーは
あおい訪問看護ステーションで担当し、
もともとその男性と同じ病院で働いていた先生が往診医で入ってフォローすることで、
なんとかご自宅に戻ることができることに。
日曜日以外は毎日、看護師が1日に何回も入り、
「長く生きたいので」
という本人の希望でリハビリもしっかり入れていくという重点的な方針で、
みんなで力を合わせてその男性を看ていくことになりました。
人を切り捨てるようなことはなかったものの、
大病院の院長先生だったということもあって、
看護師に自分の部下への物言いかのように色々言うなど、
かなり厳しい方でサポートには苦労したんだとか。
ただその方は、ご自宅で過ごすことや、ご自身のQOLを維持することへの想いはすごく強かった。
病院で勤務していた医療従事者だったからこその強さだったのでしょう。
阿多さんは、
「とにかくスタッフが一丸となって自宅で過ごせるようにサポートをした」
と、当時を鮮明に覚えていると言います。
その後、懸命なサポートの末、依頼を受けてから半年程で、
ご本人の希望通りご自宅でのお看取りをすることができました。
奥さんと娘さんも一緒でした。
最期にはご本人だけでなく、ご家族からも頂けた
「ありがとう」
という言葉に、阿多さんは
「サポートができて本当に良かった」
と喜びがこみ上げたのだそう。
「在宅は無理だ」と判断するお医者さんがまだまだ多い中、
いかに利用者さんの想いを叶えてあげることができるのか。
そのために道を探していくことが、この仕事の一番大事なことだということを
改めて感じさせてくれますよね。
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