訪問看護ステーションの事務スタッフ
訪問看護ステーションには事務スタッフがいる場合とそうでない場合があります。立ち上げ当初や小規模であれば事務スタッフがいないことも多いのですが、訪問看護の業務には利用者を訪問する看護以外にも事務的な仕事もたくさんあります。その業務を事務スタッフが担ってくれることで仕事の効率も上がり、現場に集中できることにつながります。今回は、事務スタッフが担ってくれる役割を説明していきます。
①請求業務
訪問看護ステーションは利用者宅に訪問して看護を提供することで介護報酬や医療報酬を得ることができます。しかし、報酬を得るためには介護保険、医療保険それぞれの請求業務が必要となり、請求先が違うだけでなく利用者ごとの負担割合によっても請求額が変動してきます。支払い方法も口座引き落とし、現金払い、振り込みとあるためお金の動きを把握してもらうためには事務スタッフの力が必要となります。事務スタッフなしに管理者が請求業務を担うとなるとそちらに多くの時間を割くこととなり現場のフォロー体制が希薄になってしまう可能性が高いです。
②書類整理
訪問看護業務を進める中で必要な書類は沢山あります。世の中的にもペーパーレス化が進む気配もありますが、契約書類、訪問看護指示書、申込書、提供票、計画書・報告書、日々の情報共有のためのFAXなど毎日のように書類が増えていくのが現状です。それを利用者ごとに整理して必要な書類は保管、そのほかは破棄するにはかなりの労力が必要となります。事務所に戻って記録や調整がしたときに机の上が書類の山だとモチベーションも下がります。
③物品購入、ステーションの清掃
訪問中に使用するバイタルグッズ、手袋、マスクなどの消耗品や事務所で使用する机や椅子、飲み物など必要な物は都度購入して補充する必要があります。また、毎日ユニフォーム・靴下の洗濯等も必要です。そのくらいは看護師でやりなよ!と思うかもしれませんが、訪問件数が多くて記録・調整もやって忙しくなってくると物品管理や洗濯、清掃まで手が回らなくなってきます。
以上となります。
上記に挙げた『事務スタッフの役割』というのは決して事務スタッフがやるべきことではなく看護師でできるなら看護師で対応しても良いといった考え方もあります。
ただ、専門職がすべき業務と事務スタッフにお願いした方が良い業務とを切り分けて整理することで、専門職のモチベーションへの影響や、ステーション全体が効率良く安全に運営できるようになっていくことのメリットもまた事実です。
また、いち訪問看護師としての個人的意見として、上記の役割だけではなく、専門職(看護師、リハビリ 等)以外での第3者的ポジションとしての事務スタッフがいることで、日々の何気ない相談ができたり、愚痴を聴いてもらったり、「いってらっしゃい」「お帰りなさい」といった声をかけてもらったり…等々、事務スタッフからの温かい言葉に助けられた経験が何度もあります。
やはり、訪問看護ステーションにとって事務スタッフの存在は、とても貴重なものではないかと思います。
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