【看護師コラム】訪問看護師が関わる3つの多職種会議とその特徴
看護師の岩本です。
訪問看護をやっている中で、多職種で参加する会議に出席することは多くあります。前回のコラムでは他職種の方々の紹介をしましたが、今回はその方たちと一緒に参加する主な会議を3つご紹介いたします。
退院調整のためのカンファレンスで、病院に務めている看護師さんにもなじみがあると思います。
僕たちにとっては、入院先の担当医はじめ病棟の方々と在宅チームが一同に会する、とっても貴重な機会です。患者さんを在宅で受け取る訪問看護師を含む多職種の在宅チームにおいても、初めて顔を突き合わせる機会になることが多いのです。
〈1〉退院カンファレンス
病院から、これまでの経過と入院中の状況、ADLや看護プランなどについて引き継ぎをうけ、また最後退院までの間に指導などで在宅を見据えて加えて欲しいことを入院先の病棟主任もしくは担当看護師に具体的にお願いをこともあります。
例えば、家に帰ってから使う実際の吸引機や輸液ポンプなどでの指導をお願いしたり。
〈2〉サービス担当者会議
“サ担”や“担会”などと略していうことが多いですね。
介護保険におけるケアプランに関わる会議で、ケアマネージャーが主催してくれています。ご利用者様にかかわるサービス事業者が一堂に会する貴重な場であり、チームでのケアを進めるうえで欠かせません。ケアマネージャーが全体のまとめ役を務めます。サービス担当者会議が開かれるタイミングはだいたいの場合で以下の時になります。
1、ケアプランが立案された時点
2、介護保険の認定期間が切れ、更新が必要になったとき。
3、認定期間中でも、介護度の認定区分変更が必要になったとき
4、著しい状態の変化や、環境の変化がおこったとき(可能性が高いとき)。
特に、3・4についてはケアプランと我々訪問看護師の看護計画も変更すべき状況であるため、タイムリーに行うことが求められますね。
訪問看護師としての役割は、身体状況・疾患状況・症状とそれらの今後の予測を踏まえて、本人家族に必要なサービスが充足しているかを、ケアマネージャーや本人・家族へ提案・調整ができることが求められます。
いわば、介護保険サービスにおいてケアマネージャーの右腕的存在として信頼をしてもらえるとケアマネジメントがより質の高いものになるでしょう。
〈3〉 地域ケア会議
地域包括ケアシステムと声高に叫ばれている中で、その構築するためには、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備とを同時にすすめることが重要です。
厚生労働省においては、これを実現していく手法として「地域ケア会議」を推進しはじめました。主に地域包括支援センターで開催され、多職種の協働による個別ケース(困難事例等)の支援を通じて、
1、地域支援ネットワークの構築
2、高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援
3、地域課題の把握を目的に行います。
参加者は、自治体職員、包括職員、ケアマネジャー、介護事業者、民生委員、OT、PT、ST、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、歯科衛生士など、専門職と地域の人たちで構成されます。
僕も参加をした経験があるのですが、実際に地域包括支援センターや保健師などの介入がとても困難なケースなどを事例としてディスカッションをすることが多く、その事例の新たな解決策や突破口が見えることもありました。
ただ、様々な立場のヒトがフラットに参加・発言するため、まとめる地域包括支援センターの職員さんはとても大変そうでしたが…(笑)
このように、多職種での会議に参加することが必然的に多くなります。
より“連携”という言葉を深く考えるようになるのも、訪問看護の魅力の一つですね。
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▼筆者
岩本 大希(いわもと たいき)
▼筆者プロフィール
看護師|ウィル訪問看護ステーション江戸川 所長
総合大学の看護医療学部を卒業後、神奈川県相模原市にある北里大学病院の救命救急センターのICU等で看護師として従事。三次救急のドラマティックな看護を経験しながら、患者が家に帰りたくても帰れないことで救急車のたらいまわしが起こる「ベッドの玉突き事故問題」や、突然の搬送・救命治療での充分な意思決定の時間が足りない事を問題と捉え、在宅医療・ケアの受け皿としてヘルスケアベンチャーにて24時間365日対応の訪問看護事業を起こす。
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