訪問看護におけるリハビリテーションとは

訪問看護におけるリハビリテーションにも積極的に介入して機能回復を目指すケースや機能維持を目的にするケースなど疾患・対象によって幅広いニーズがあります。その中でも共通しているのは「〇〇したい」「〇〇できるようになりたい」という希望があることです。その希望を叶えるためにはリハビリテーション は必要不可欠となります。

リハビリを実施する専門職は？

訪問看護でのリハビリを行う医療専門職は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士となり訪問看護ステーションの所属となります。「歩く」といった身体機能の回復や維持を図るためなら理学療法士。「着替える」といった日常生活を送るうえでの機能の回復や維持を目指すなら作業療法士。「話す」と言った言語障害や、「飲み込む」といった嚥下障害に対しては言語聴覚士。利用者のリハビリニーズに沿ってそれぞれどの職種が介入することが適切か看護師やリハ職同士で検討して医師に相談していくことが大切です。

訪問リハビリテーションを利用するには？

対象となるのは、①要介護認定をうけている方、または一定の障がいがある方、②通院・通所が困難なため自宅でのリハビリテーションが必要な方、③通院・通所が可能でも、自宅での動作練習や住宅環境設備は必要な方、となります。そして、訪問リハビリテーションを利用するには、訪問看護サービスの利用と同様に主治医からの「訪問看護指示書」が必要となります。その指示書の中にリハビリテーションの必要性が明記されて初めて利用することができます。そのため利用者・家族と訪問看護ステーションやケアマネジャーだけの話し合いで利用できるわけではないです。（ただし、保険を使用せず自費で利用することはできます）

訪問リハビリテーションの内容

健康管理（血圧測定、体温測定、健康状態の把握など）、評価（病状や身体機能の把握、身体測定、体力測定など）、日常動作訓練（室内の歩行訓練、座位保持訓練、買い物などの外出支援など）、摂食嚥下訓練（口腔体操、食事内容のアドバイスなど）といった直接的な介入。また、環境整備（身体や日常生活動作に合わせて自宅の環境を整備するなど）、福祉用具の選定（専門業者と相談し、身体に合わせた福祉用具の利用支援など）がリハビリテーションの大まか内容となります。

訪問看護師とリハビリ職の連携のポイント

訪問看護ステーションにおけるリハビリテーションは訪問看護における看護師の業務の一環として位置づけられているため看護師との連携が必須となってきます。また、訪問看護とリハビリが同時に介入してくことが大半なので常に連携を取りながら介入することが大切です。その際のポイントをお伝えします。

①言葉の違いがあることを理解する

両者とも医療職でありながら、看護師とリハ職では日常的に使う専門用語や知識の範囲が異なります。ディスカッションの中で相手の言葉を理解できなければ、共通理解はできません。相手が理解できる表現・内容で伝えることを意識するだけでスムーズな連携が組めるかと思います。また、お互いが分からないことを分からないと言える、そういう関係作りを日常的にできると良いです。

②互いの専門性を把握する

看護師は病状を看ることができて、病気の予後予測がつけられるため健康問題を早期に発見し、医師に相談しながら早期対応に結び付けることができます。しかし、機能回復の見込みを判断するのは難しいです。一方、セラピストは機能や活動の状態を評価することができるため機能回復訓練をして、どこまで回復するか予測をたてることができます。けれど病状変化に対する判断は難しいです。それぞれ見ている視点、強み・弱みが違うということを把握して連携組めると良いです。

以上となります。

看護師とリハビリ職で共通目標に対してアプローチすることで利用者に対してより良いサービスを提供すること大切です。そのために事例検討や定期的なカンファレンスを通してお互いの情報を持ち寄って介入の方向性をすり合わせていきましょう。

▼執筆者プロフィール

藤井 達也
地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。