看護師と保健師の同時取得のメリット5つ!大変さや取得方法を解説

「看護師と保健師、両方の資格を持っておいた方が良いの?」「ダブルライセンスを取得するのは大変なの?」
看護師と保健師の資格を同時に取得することは、あなたのキャリアの幅を広げる魅力的な選択肢です。
しかし、この資格の同時取得にはメリットだけでなく、大変な側面もあります。
この記事では、看護師と保健師の同時取得のメリットや大変さ、実際の取得方法などを解説します。ダブルライセンスの取得を検討しているものの不安があり一歩踏み出せない方が、この記事をきっかけに悩みを解決できれば幸いです。
看護師と保健師を同時取得するメリット5つ
看護師と保健師の資格の同時取得には、次の5つのメリットがあります。
- 仕事の選択肢が広がる
- それぞれの現場で知識を活かせる
- キャリアアップにつながる
- 資格手当がつく可能性がある
- 転職するときに有利になる
それぞれを詳しく見ていきましょう。
仕事の選択肢が広がる
看護師と保健師の資格を両方持つことで、多岐にわたる分野で活躍できます。
看護師と保健師は異なる専門性を持ち、活躍できるフィールドが広がるからです。看護師と保健師、それぞれが働いている場所とその割合について次の表を確認してください。
<看護師>
看護師の就業場所 | 割合 |
病院 | 70.9% |
診療所 | 12.0% |
介護保険施設等 | 7.0% |
訪問看護ステーション | 5.1% |
社会福祉施設 | 1.6% |
<保健師>
保健師の就業場所 | 割合 |
市区町村 | 51.2% |
保健所 | 17.2% |
病院 | 7.9% |
事業所 | 7.1% |
診療所 | 3.9% |
このように、看護師は病院や診療所で働く割合が高い一方で、保健師は市区町村や保健所が高くなっています。
また、近年では、企業における従業員の健康管理や、学校における児童・生徒の健康教育など、看護師と保健師の資格を活かせる場が広がっています。
この2つの資格を活かすことで、より幅広い視野で人々の健康に貢献できるでしょう。
それぞれの現場で知識を活かせる
看護師と保健師の知識は、現場で相互に役立ちます。
たとえば、患者さまの退院指導や産婦さまへの授乳指導、生活習慣病の生活指導などの場面で看護師は保健師の知識が活かせます。また、地域での健康教育や病気の予防教室などの場面で、保健師は看護師の臨床経験を活かすと、より実践的にサポートできます。
現場での知識やスキルを活かすことで、質の高い医療・保健サービスを提供できます。
キャリアアップにつながる
看護師と保健師の資格の同時取得は、キャリアアップにもつながります。
専門性の高い資格を同時に持つことで、管理職や専門職など責任のあるポジションを目指せる可能性があるからです。
また、大学や専門学校で看護師や保健師の育成に携わるなど、教育機関や研究機関でも活躍できます。
看護師と保健師の資格を同時に取得することは、自身のキャリアアップを考えるうえで有効な手段といえるでしょう。
資格手当がつく可能性がある
看護師と保健師の資格を両方取得すると、より幅広い業務に対応できる人材として専門性が評価され、給与アップする可能性があります。
たとえば、企業や保健所などでは、従業員の健康管理や地域住民への保健指導などにおいて看護師と保健師、両方の知識を必要とする業務があります。
そのため、これらの機関では、2つの資格を持つ人材を高く評価し、資格手当を支給することで、専門性の高い人材の確保に努めている場合があるのです。
また、病院や介護施設などでも地域連携や退院支援など、保健師の知識が求められる場面が増えており、資格手当の対象となることがあります。
看護師と保健師の資格を両方取得することは、給与アップを目指すうえで有効な手段です。ただし、資格手当の有無や金額は職場によって異なるため、事前に確認しましょう。
転職するときに有利になる
看護師と保健師の資格を同時に取得することは、転職を検討する際に大きなアドバンテージになります。
なぜなら、これらの資格があると医療機関だけでなく、行政機関や企業など幅広い分野で活躍できるため、転職先の選択肢が広がるからです。
病院で看護師として臨床経験を積んだあと、地域包括支援センターや保健所など、地域保健に特化した機関に保健師として転職することも可能です。また、企業で従業員の健康管理を担当するといった産業保健分野への道も開けます。
2つの資格を持つことで、自身のキャリアプランに合わせた多様な働き方を選択できます。
関連記事:看護師から保健師に転職する流れとは?5つのメリットや後悔するポイント
看護師と保健師を同時取得する大変さ
看護師と保健師の同時取得には、大変な側面もいくつかあります。
- 修学期間が長くなる
- 国家試験の学習範囲が広がるため取得が難しい
- 看護師国家試験が不合格だった場合は保健師として働けない
それぞれをしっかりと把握して、ダブルライセンスを目指す際の参考にしてください。
修学期間が長くなる
看護師の資格のみであれば、3年制の専門学校で取得可能です。
しかし、看護師と保健師の資格を同時に取得するためには、一般的に4年制の大学で学ばなければなりません。
そのため、同時取得には、修学期間が長くなるデメリットがあることを知っておきましょう。また、修学期間が長くなる分、学費や生活費など経済的な負担も大きくなることも考える必要があります。
国家試験の学習範囲が広がるため取得が難しい
看護師と保健師の国家試験は、科目や試験範囲が異なるため、それぞれの対策が必要です。しかも、同時期におこなわなければなりません。
以下の表にあるように、令和6年に実施された国家試験の合格率はいずれも高めですが、同時に2つの国家試験を受けることは負担が大きいと推測できます。
資格 | 合格率 |
看護師 | 87.8% |
保健師 | 95.7% |
そのため、効率的な学習方法を見つけ、モチベーションを維持しながら学習を進めることが大切です。
看護師国家試験が不合格だった場合は保健師として働けない
保健師として働くためには、看護師の資格が必須です。
看護師国家試験に不合格だった場合、保健師国家試験に合格しても、保健師として働くことはできません。
そのため、看護師国家試験に不合格だった場合は、計画的に学習を進めて、翌年の合格を目指しましょう。
看護師と保健師を同時取得する方法
看護師と保健師の資格を同時に取得する方法は、「看護系の大学に入学する」ことです。
看護系の大学には、看護師と保健師免許を取得するためのカリキュラムが組まれているところがあるため、それぞれの単位を取得すると、卒業と同時に2つの国家試験を受験できます。
高校卒業からであれば、最短4年で保健師と看護師の免許を取得できます。
ただし、全ての看護系の大学に両方の資格を取得できるカリキュラムはありません。
文部科学大臣が認定した医療関係技術者養成学校では、看護系の大学304校(国立42校、公立52校、私立210校)に対して、保健師を養成できる看護系の大学は253校(国立34校、公立42校、私立177校)です(2024年時点)。
また、各大学における保健師養成可能人数は制限されていることが多く、ある大学では看護大学の入学定員100名に対して、保健師養成可能人数は20名と設定されています。
あなたが希望する看護系の大学に保健師のカリキュラムがあるのか、ホームページを見て確認したり、直接問い合わせたりしましょう。
また、同時取得ではありませんが、看護専門学校を卒業後、保健師養成機関に入学や編入することで保健師国家試験の受験資格を得る方法もあります。
保健師養成機関の修学期間は1~2年であるため、看護師資格の取得からズレは生じますが、高校卒業後から4~5年で保健師と看護師、両方の資格を取得可能です。
看護師と保健師を同時取得することについてのよくある質問
看護師と保健師の同時取得について、よくある質問とその回答をまとめました。これらを確認して、悩みを解決してください。
Q1:国公立大学に入ると、看護師と保健師を必ず同時に受験できますか?
国公立大学に入っても、看護師と保健師の同時受験が必ずできるとは限りません。
というのも、保健師課程を受講するには選抜制になっているところもあり、入学後、試験に合格しなければならないからです。
選抜試験の内容や時期は、大学によって異なります。大学のホームページや募集要項などで確認しておきましょう。
Q2:看護師と保健師、同時取得するためにおすすめの学校はありますか?
一般的に、国公立大学は、私立大学に比べて学費を安く抑えられる可能性があります。
しかし、大学によって難易度や倍率も異なります。大学を選ぶ際には、学費だけでなく、カリキュラムや実習先、就職実績なども考慮しましょう。
また、大学のオープンキャンパスに参加して、実際に大学の雰囲気を感じることもおすすめです。
まとめ:看護師と保健師の同時取得はメリットが多い!自分に合った方法で取得を目指そう
看護師と保健師の国家資格を同時に取得することは、キャリアの選択肢を広げ、専門性を高めるうえで有効な手段です。
大変な側面もありますが、計画的に学習を進めることで、目標達成は十分に可能です。
自身の状況やキャリアプランに合わせて、最適な方法を選択しましょう。
<参考サイト・文献>

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