看護師から保健師に転職する流れとは?5つのメリットや後悔するポイント

公開日:2025/04/02 更新日:2025/04/02
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「看護師から保健師に転職したいけど、どうすればいいの?」「保健師として働いて後悔することはあるの?」

赤ちゃんから高齢者まで、あらゆる世代の健康をサポートできる保健師は、これまでの経験を活かせる魅力的な職業です。地域住民の健康を支える保健師への転職を考えている看護師は多いのではないでしょうか。

ただし、保健師への転職は、期待と現実のギャップに悩む可能性も否定できません。転職の全体像を把握し、注意すべき点を理解しておくことで、後悔のない選択ができるでしょう。

この記事では、看護師から保健師へのスムーズな転職プロセスやメリット、注意すべきポイントについて詳しく解説します。あなたのキャリアチェンジが成功するための情報が満載ですので、ぜひ最後までお読みください。

看護師から保健師に転職する流れ

看護師から保健師に転職する流れは、保健師の資格をすでに持っているかどうか、で異なります。それぞれをチェックしましょう。

保健師の資格を保有している場合

保健師の資格をすでに持っている方は、求人に応募し、選考を通過できると保健師に転職できます。

即戦力として期待されるため、これまでの経験やスキルを積極的にアピールすることが重要です。

求人サイトやハローワークなどを活用して、あなたの希望に合う求人を探しましょう。

看護師の資格のみを保有している場合

保有資格が看護師のみの場合は、保健師の資格を新たに取得する必要があります。保健師として就職するまでのステップは、次のとおりです。

  1. 大学または養成学校で必要な単位を履修する
  2. 保健師国家試験に合格し、資格を取得する
  3. 保健師の求人に応募する

保健師の資格を得るためには、大学や養成学校で最低1年以上の学習が必須となります。

保健師の養成機関では、市役所や保健センターでの実習がカリキュラムに含まれるため、仕事を続けながら資格取得を目指すのは容易ではありません。

実習期間中は勤務を調整する必要があるため、職場の上司や人事課にあらかじめ相談しておきましょう。

看護師から保健師に転職する5つのメリット

看護師から保健師に転職するメリットは次のとおりです。

  • 日勤メインの勤務形態であり身体の負担が少なくなる
  • 臨床経験を保健師に活かすことができる
  • 地域医療への貢献を実感できる
  • 転職する選択肢が広がる
  • 給料が上がる可能性がある

それぞれを詳しく見ていきましょう。

日勤メインの勤務形態であり身体の負担が少なくなる

保健師は、看護師と比べて身体的な負担が少ない傾向です。

基本的に、保健師の勤務は日勤メインであり、夜勤がないからです。

たとえば、保健師は日中の時間帯で地域住民の健康相談に乗ったり、健康診断や保健指導などをおこなったりします。基本的に、夜間は業務がないため、自分の時間を確保しやすいことが特徴です。

また、病院勤務のように患者さまを抱えたり、おむつを交換したりと体力的な負担も少ないため、体力に自信がない方でも安心して働けるでしょう。

臨床経験を保健師に活かすことができる

看護師としての臨床経験は、保健師の業務において強みとなります。

とくに、慢性疾患の指導や生活習慣病の改善に向けた教育などの場面で、臨床経験を活かしながら地域住民にアドバイスができるからです。また、病院で培ったコミュニケーション能力や患者さまの気持ちに寄り添う力も、地域住民との信頼関係を築くうえで欠かせません。

このように、看護師としての臨床経験は、保健師の業務において活かせるのです。

地域医療への貢献を実感できる

保健師は、地域住民一人ひとりとじっくり向き合い健康をサポートするため、地域医療への貢献を実感できる仕事です。

乳幼児健診や高齢者の健康相談などで、生活習慣の改善や病気の予防についてアドバイスします。また、健康教室やイベントなどを企画・実施して、地域住民の健康意識を高めるために活動します。

これらの活動を通して、地域住民から感謝の言葉をいただく機会も多いため、保健師は自身の仕事が地域医療に貢献していることを実感できるでしょう。

転職する選択肢が広がる

保健師の資格を取得することで、看護師よりも幅広い分野で活躍できるようになり、キャリアの選択肢が広がります。

看護師の約80%以上が病院(70.9%)やクリニック(12.0%)で働いている一方で、保健師は看護師とは異なる場所に就職しているからです。

保健師の就業場所割合
市区町村51.2%
保健所17.2%
病院7.9%
事業所7.1%
診療所3.9%
参考:令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省 (常勤換算、上位5位までを抜粋)

保健師は、市区町村や保健所で地域の健康課題に取り組み、事業所で従業員の健康管理を担っています。このように、保健師の資格を持つことで、病院やクリニック以外の場所でも活躍できるのです。

給料が上がる可能性がある

看護師から保健師に転職すると、給料アップが期待できます。保健師と看護師の給料は、次の表を見てください。

 保健師看護師
月給35万1,100円36万3,500円
賞与99万9,200円83万5,000円
年収521万2,400円519万7,000円
参考:令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

市区町村や保健所などで働く保健師は、公務員として安定した給与がもらえるでしょう。また、企業の保健師は従業員の健康管理やメンタルヘルスケアなど専門性を活かすることで、高い評価を得られる場合があります。

このように、保健師は専門性を活かして多様なキャリアパスを描けるため、経験や職場によって給料アップが見込めます。

看護師から保健師に転職して後悔するポイント

看護師から保健師への転職は、良いことばかりではありません。転職して後悔する可能性もあります。

  • 保健師の仕事に向いておらず後悔する場合がある
  • 平日の5連勤に慣れずきついこともある

デメリットを以下にまとめたため、転職する前に確認しておきましょう。

保健師の仕事に向いておらず後悔する場合がある

保健師の仕事は、看護師とは異なり、デスクワークや地域住民とのコミュニケーションが中心となります。そのため、人によっては仕事内容にギャップを感じ、後悔することがあります。

たとえば「現場で医療処置をおこなってバリバリ働きたい」「もっと患者さまのケアがしたい」と感じる方は、保健師の仕事に物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、地域住民一人ひとりとじっくり向き合い、健康課題の解決をサポートすることにやりがいを感じている保健師の方もいます。

保健師の仕事は、看護師とは異なる特徴があるため、自分の興味や適性をよく考慮したうえで選ぶことが重要です。

平日の5連勤に慣れずきついこともある

保健師は、看護師とは勤務体系が違うため、平日の5連勤に慣れるまで大変だと感じる方もいます。

実際に「5日連続で職場に行くのがつらい」「連続勤務になかなか慣れない」といった声もあります。

しかし、土日祝日が休みになり、家族や友人と過ごしやすくなることがメリットです。

このように、看護師から保健師への転職は、勤務体系の変化によって、生活リズムに慣れるまで時間がかかる場合があります。

看護師から保健師への転職を成功させるためのコツ

看護師から保健師への転職を成功させるためには、事前の準備が大切です。

  • 早い時期に求人情報をチェックする
  • 保健師になる目標を明らかにする
  • 保健師への転職が決まるまで退職しない
  • 複数の転職サイトや転職エージェントを活用する

4つのコツを知って、あなたに合った働き方を実現しましょう。

早い時期に求人情報をチェックする

保健師への転職を成功させるためには、早い時期からの情報収集が重要です。

というのも、保健師の求人数は看護師に比べて少ない傾向であり、希望条件に合う求人が見つかりにくい場合があるからです。厚生労働省の調査によると、令和5年度の有効求人倍率は、次のとおりです。

  • 保健師:1.0倍
  • 看護師:2.3倍

保健師は、一度就職すると辞めない傾向であり採用する枠が少ないため、看護師と比べて転職は難しいといえます。

そのため、ハローワークや求人サイトだけでなく、自治体のホームページや保健師専門の転職サイトなど、幅広い情報源を活用することが大切です。

情報収集を早めに始めることで、新規の求人情報に気づきやすく、応募の機会を逃さずに済むでしょう。

保健師になる目標を明らかにする

保健師としてどのようなキャリアを築きたいのか、目標をはっきりすることが、転職活動を成功させるうえで重要です。

目標が明らかになることで、転職活動の軸が定まり、モチベーションを維持できるからです。

たとえば「地域住民の健康寿命を延ばしたい」「子育て世代の健康をサポートしたい」など目標が具体的であると、どのような職場を選び、どのようなスキルが必要かなど見えてきます。

また、目標を達成するために、学習にも積極的に取り組めるでしょう。

このように、保健師になる目標を明確にすることは、転職活動を成功させ、充実したキャリアを築くための第一歩となります。

保健師への転職が決まるまで退職しない

保健師への転職活動中は、現職を辞めずに活動をおこなってください。

その理由は、保健師の求人数は看護師に比べて少なく、転職活動が長期化するリスクがあるからです。希望する条件に合う求人がすぐに見つかるとは限らず、選考に時間がかかる場合や内定が出ても条件が合わない場合もあります。

また、退職して収入がなくなると経済的な不安や焦りから、十分に検討しないまま転職先を決めてしまうリスクがあります。

このように、保健師への転職が決まるまでは現職を続けておくと、落ち着いて転職活動を進められるでしょう。

複数の転職サイトや転職エージェントを活用する

保健師への転職を成功させるためには、複数の転職サイトや転職エージェントを活用し、情報収集の幅を広げることが重要です。

保健師の求人は一般的な転職サイトには掲載されていないこともあり、専門的な情報を持つ転職サイトやエージェントを利用することで、より多くの求人情報を得られるからです。

たとえば、看護師・保健師専門の転職サイトや転職エージェントでは、一般公開されていない非公開求人を紹介してもらえる場合があります。また、面接対策や履歴書添削などのサポートを受けることで、選考の通過率を高められます。

このように、複数の転職サイトや転職エージェントを活用することは、保健師への転職を成功させるための有効な手段となるでしょう。

看護師から保健師への転職についてよくある質問

ここでは、看護師から保健師への転職についてよくある質問とその回答をご紹介します。

Q1:通信の学校で保健師の資格は取得できますか?

通信制の大学や養成学校では、保健師の資格取得ができない可能性があります。

保健師のカリキュラムには臨地実習が含まれており、通信ではこの実習ができないからです。最低でも1年間の通学が必要であることを知っておきましょう。

Q2:看護師として働きながら保健師の資格取得はできますか?

夜間に開講している大学や養成学校を利用すると、看護師として働きながら保健師の資格取得を目指せます。

ただし、昼間は働き、夜間や休日に学校へ通う必要があるため、計画的に学習を進めなければなりません。臨地実習の期間中には、業務の調整が必要となるでしょう。

Q3:看護師から保健師になった人はどれくらいいますか?

看護師から保健師への正確な転職者数は公表されていません。

しかし、看護師の経験を活かして地域医療に貢献したいと考える方は多く、保健師の資格を取得する方も一定数います。

看護師と保健師の資格を同時に取得できる大学や養成学校もあり、就業している保健師数は令和4年で6万299人(対令和2年+4,704人)と増加傾向です。

看護師から保健師へのキャリアチェンジは、珍しいものではなくなってきているといえるでしょう。

まとめ:看護師から保健師になるメリットや後悔するポイントを踏まえて理想の働き方を実現しよう

看護師から保健師への転職は、勤務形態や仕事内容が大きく変わるため、メリットとデメリットをよく理解したうえで検討することが大切です。

仕事内容が合わないことや、平日の5連続の勤務といった勤務形態に慣れない可能性も考えて、自分の価値観やキャリアプランに合った選択をしましょう。

保健師の仕事は、地域住民の健康を支え、やりがいを感じられる仕事です。看護師として培った経験は、保健師の業務でも役立ちます。

看護師から保健師への転職を成功させるためには、情報収集や準備が欠かせません。この記事を参考に、理想の働き方を実現してください。

<参考サイト・文献>

看護職になるには|日本看護協会

令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省

令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

保健師 職業情報提供サイト job tag|厚生労働省

看護師 職業情報提供サイト job tag|厚生労働省 

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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