看護師の昇給の平均額は?昇給額が少ないと言われる理由5つとその解決法

公開日:2025/04/02 更新日:2025/04/02
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「看護師の昇給額は平均いくらくらいなの?」「ほかの看護師はどうやって昇給しているの?」

一般的に、看護師の給料は高いと言われがちですが、昇給について悩んでいる看護師は多いのではないでしょうか。さまざまな賃上げが実施されている会社員と比べて、看護師は給料が上がっている実感がなく、収入に不安を感じている方もいるようです。

この記事では、そのような悩みを抱えている看護師さんに向けて、昇給の平均額から昇給額が少ないと言われる理由、昇給するための対策まで解説します。

看護師の昇給の平均額は5,370円

全日本病院協会「医療機関における賃金引上げの状況に関する調査」によると、看護職員(常勤職員:定期昇給分+ベースアップ分)の昇給の平均額は5,370円です。

看護師の昇給額の平均値を知っておくことで、あなたの昇給額が平均よりも高いのか低いのか、判断をする材料になるでしょう。

ただし、毎年必ず昇給があるわけではなく、昇給額はあなたの職場の規模や地域によって異なります。

大規模な病院や都市部では、昇給額が高い一方で、小規模なクリニックや地方では、昇給額が低い傾向があります。

昇給額は、あなたのキャリアパスにも影響し、昇給額が高い職場では、より高い給料を期待できるでしょう。昇給額が低い職場では、昇給以外の方法で給料アップを目指す必要があるかもしれません。

看護師の昇給額が少ない5つの理由

看護師の昇給額が少ない理由は、おもに5つあります。

  • 昇給のチャンスが少ないため
  • 役職の数が少ないため
  • キャリアの中断により上がりにくいため
  • 看護師の仕事内容を評価しにくいため
  • 運営母体によって昇給の実態に差があるため

なぜ昇給額が少ないのか、理由を見ていきましょう。

昇給のチャンスが少ないため

一般的に、看護師は年に1回の人事評価の際に昇給が決まります。職場によっては、昇給の機会がないところもあります。

しかし、病院や施設に勤務する看護師は、夜勤や残業が発生しやすく、体力的にきつく、責任も重い仕事内容になりがちです。

さらに、昇給は病院や施設の業績や個人の評価によっても異なり、業績が悪いときは昇給が見送られることもあります。つまり、看護師は昇給するチャンスが少ないにも関わらず、仕事の負担は大きいのが現状です。

看護師の給料については、下記の記事でも詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:看護師の給料は安い?割に合わない理由7つと給料アップするコツを解説

役職の数が少ないため

看護師は役職のポジションがあまりなく役職に就く看護師が限られているため、役職による昇給は難しいと言えます。

看護師の役職には、看護師長や看護部長などがありますが、一般企業と比べると役職の数は限定的です。具体的には、看護部長は病院に1名、看護師長は病棟に1名であり、スタッフ1,000人規模の病院でも役職につけるのは30名程度の場合もあります。

また、看護師の役職は、経験年数や勤続年数、保有資格などによって決まりがちです。

そのため、経験年数が浅かったり資格を持っていなかったりすると、役職に就けず昇給の機会が少なくなる場合があります。

関連記事:看護師の役職とは?役職一覧と給与事情、役職に就く3つの基準を解説

キャリアの中断により上がりにくいため

看護師はライフイベントによるキャリアの中断により、昇給する機会を失うケースがあります。

看護師は女性の割合が91.4%(令和4年時点)と高く、結婚や出産などのライフイベントによってキャリアが左右される方も少なくありません。

キャリアを中断すると、看護師としての経験年数が増えず、スキルアップもできないことから昇給が期待できない場合があります。

また、出産によってキャリアを中断した看護師が、子育てが落ち着いて復職する際、以前と同じ部署で働けるケースは珍しいようです。人員の関係といった病院側の事情により、復帰しても別の部署に配属されます。

看護師は同じ病棟に長く勤めた方が昇給しやすいこともあるため、ライフイベントでキャリアが中断する方にとっては、昇給が遠のく恐れがあります。

看護師の仕事内容を評価しにくいため

看護師の仕事内容は評価しにくいため、昇給額が少ないと言われています。

看護師の仕事内容は、患者さまのケアや医療処置など多岐にわたります。たとえば、清拭やシャワー介助のほかに、おむつ交換や点滴などがあり、これらの業務は患者さまの健康と快適な生活を支えるうえで欠かせません。

しかし、これらの業務は数値で評価することが難しく、昇給額に反映されないのです。

また、患者さまからの感謝の言葉やチーム医療への貢献、緊急時の冷静な判断など看護師の仕事は数値化できない部分もたくさんあります。これらの貢献は、患者さまの満足度や医療の質に大きく影響しますが、昇給評価に反映されにくいのが現状です。

運営母体によって昇給の実態に差があるため

看護師は運営母体によって昇給の実態に差があるため、働く場所によっては希望通りに昇給できない場合があります。

一般的には、公立病院や大学病院など規模が大きい病院は、給与テーブルが明らかにされている場合が多く、勤続年数や役割に応じて安定した昇給が期待できます。

一方、民間病院やクリニックなどは、給与テーブルが明確ではない場合があり、昇給額は病院の業績や個人の評価によって大きく変動しがちです。

給与テーブルがはっきりと決まっていなければ、どのように評価されて、昇給額がきまるのかがわからないため、モチベーションの低下につながるリスクがあります

看護師が昇給するための方法

看護師が昇給するための方法はおもに7つあります。

  • 勤務先の昇給システムを把握する
  • 同じ職場に長く勤める               
  • 規模が大きい病院で働く
  • 新しい資格を取得する
  • 部署内で新しい役割を担う
  • 病院の経営状況をチェックする
  • 給与水準が高い職場に転職する

昇給するための方法をそれぞれ見ていきましょう。

勤務先の昇給システムを把握する

看護師は勤務先の昇給システムを把握しましょう。

勤務する病院やクリニックによって、昇給のシステムは異なり、昇給の時期や昇給額の基準などを確認しておくことが重要だからです。

昇給のシステムを把握できると、自分がどのような評価をされているのか、どのような目標を達成すれば昇給につながるのかを知ることができます。

具体的には、日々の業務でスキルアップやキャリアアップを目指したり、患者さまの満足度を高めたり、チームワークを向上させたりすることで、昇給につながるでしょう。

また、自己評価や上司からの評価を参考に、自分の強みや改善点を把握し、スキルアップやキャリアアップを目指すことも効果的です。

同じ職場に長く勤める

看護師が昇給を目指すうえで、同じ職場に長く勤めることは有効な手段です。経験年数を重ねることで、専門性が高まり、病院やクリニックへの貢献度も評価されやすくなるからです。

また、同じところに長く勤めることで次のようなメリットがあり、昇給につながりやすくなります。

  • 経験年数に応じた昇給:多くの病院やクリニックでは、勤続年数に応じて昇給する制度がある
  • 病院への貢献度評価:新人看護師の指導や委員会活動への参加など、病院運営に貢献することで、評価が上がりやすい
  • スムーズな業務遂行:病院の文化や雰囲気に慣れることで、業務効率が向上し、患者さまへの質の高いケア提供につながる

しかし、同じ職場に長く勤めることは、必ずしも昇給につながるとは限りません。同じ職場でもマンネリ化せずに、日々の業務でスキルアップやキャリアアップを目指すことが重要です。

関連記事:50代看護師の年収は?年収アップを目指す5つの方法とおすすめ求人

規模が大きい病院で働く

一般的に、大規模病院は中小規模病院よりも給与水準が高くなりやすいです。

というのも、昇進や役職に応じた昇給制度が充実している場合が多く、キャリアアップを目指しやすい環境だからです。

さらに、規模が大きい病院は、教育制度や研修制度が充実しており、スキルアップやキャリアアップを期待でき、結果として昇給につながる可能性があります。

しかし、規模が大きい病院だからといって必ずしも昇給するとは限りません。規模が大きい病院でも、業績が悪いとその分が昇給額に影響します。

そのため、昇給を期待して規模が大きい病院で働く場合は、給与水準や昇給制度だけでなく、教育制度や研修制度などもホームページや求人情報で確認することが大切です。

新しい資格を取得する

看護師は新しい資格を取得することで、専門性が高まり、昇給につながるかもしれません。

たとえば、次のような資格を取ることで資格手当としての昇給が見込めます。

資格資格手当
専門看護師1万1,279円
認定看護師8,530円
参考:「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会 (資格手当が毎月支払われる場合)

しかし、専門看護師の65.9%、認定看護師の58.8%は資格手当の支給がないと回答しており、いずれの資格を取得しても半数以上は昇給していない現状です。

さらに、新しい資格を取得するには、時間や費用がかかります。

そのため、新しい資格を取得する場合は、昇給の有無やその額を上司や人事課に確認したうえで、自分のキャリアプランや経済状況などから慎重に検討しましょう。

部署内で新しい役割を担う

看護師は部署内で新しい役割を担うことで、スキルアップにつながり、昇給できる可能性があります。

たとえば、新人看護師の指導や委員会活動などに積極的に参加することで、評価されやすいでしょう。

しかし、部署内で新しい役割を担っても、必ず昇給につながるとは限りません。部署内で新しい役割を担うだけでなく、日々の業務でスキルアップやキャリアアップを目指すことが重要です。

病院の経営状況をチェックする

看護師が昇給を目指すうえで、病院の経営状況をチェックすることは重要です。

経営状況が悪い病院では、昇給が難しかったり、最悪の場合、倒産してしまったりするリスクもあるからです。病院の経営状況は、次のところでチェックしましょう。

  • 病院のホームページ・財務諸表:病床稼働率、患者数、診療報酬の推移、借入金の有無、経営計画などを確認
  • 病院の評判・口コミ:離職率、職員の満足度、患者からの評価などを参考
  • 厚生労働省の病院経営管理指標: 病院の経営状況を把握するための指標を確認

病院の経営状況をチェックする際は、公開されている情報が最新かつ正確であるかを把握して、複数の情報から総合的に判断しましょう。

給与水準が高い職場に転職する

看護師は給与水準が高い職場に転職することで、昇給できるでしょう。

看護師専門の転職サイトを活用して、給与水準が高い職場を見つけることが昇給するためのポイントです。具体的に、給与水準が高い職場は次のとおりです。

  • 訪問看護ステーション
  • 美容クリニック
  • 一般企業
  • 治験関連施設

訪問看護ステーションへの転職を検討している方は「NsPaceCareer」を参考してみてください。近年では、在宅医療への移行が進められており、訪問看護の分野は需要が高くなっています。そのため、給与水準が高く、高待遇の求人が増加している傾向です。

看護師が転職で年収をアップさせるポイント

看護師が転職で年収をアップさせるポイントは、おもに次の4つです。

  • 手当が厚い病棟を選ぶ
  • 福利厚生を確認する
  • 転職の面接で給与アップを交渉する
  • 転職サイトを活用する

転職で年収をアップさせるポイントを1つずつ見ていきましょう。

手当が厚い病棟を選ぶ

看護師は夜勤手当や残業手当などが支給される病棟を選ぶことで、年収アップにつながる可能性があります。

たとえば、救急病棟や集中治療室(ICU)などは、夜勤の回数が多く残業も発生しやすことから夜勤手当や時間外勤務手当といった手当が厚くなりがちです。危険勤務手当や特殊勤務手当など、一般病棟にはない手当が支給される職場もあります。

手当の金額は、病院やクリニックによって異なるため、転職する前にホームページや求人情報から金額を確認しておきましょう。

関連記事:病棟看護師の年収は?年収アップできる病棟やきついといわれる理由6つ

福利厚生を確認する

住宅手当や家族手当などが支給される病院を選ぶことで、看護師は年収アップできるかもしれません。

また、託児所や保育所が完備されている病院を選ぶことで、子育て中の看護師も安心して働くことができるでしょう。夜間保育に対応している施設であると、夜勤に入ることができるため、夜勤手当がもらえます。

さらに、福利厚生が充実している病院は、従業員の満足度が高く、働きやすい環境である傾向です。

福利厚生だけでなく、職場の雰囲気や人間関係なども確認して、自分に合った職場を選びましょう。

転職の面接で給与アップを交渉する

転職の面接の場で、自分のスキルや経験をアピールして給与アップを交渉することで、年収アップにつながる可能性があります。

ただし、給与アップばかりを交渉すると、面接官に不快感を与える恐れがあります。

そのため、面接の最後で給与アップの希望を伝えるようにしましょう。給与アップの交渉をする際は、具体的な金額を提示することで、病院やクリニック側も検討しやすくなります。

転職サイトを活用する

看護師専門の転職サイトでは、給与水準が高い病院やクリニックの求人情報を多数掲載しています。

また、転職サイトでは、キャリアアドバイザーに相談することで、給与アップの交渉をサポートしてもらえたり、非公開求人を紹介してもらえたりする場合があります。

非公開求人には、給与水準が高い求人や、好条件の求人が多い傾向があります。転職サイトを活用する際は、複数の転職サイトに登録して、求人情報を比較検討しましょう。

看護師の昇給に関するQ&A

看護師の昇給に関するよくある質問とその回答を3つ紹介します。

Q1:看護師で昇給なしのところもありますか?

看護師で昇給なしの職場もあります。

看護師の昇給は、病院やクリニックの規定によって異なります。昇給のない職場では、基本給が低く設定されるため、年収アップは難しいでしょう。

事前にしっかりとリサーチして、転職先を絞ることが大切です。

Q2:クリニックの看護師の昇給はどのくらいですか?

クリニックの看護師は、病院に比べて昇給しにくいところもあるようです。

クリニックは病院に比べて規模が小さく、昇給するチャンスが限られているからです。また、クリニックは、業績によって昇給額が変動する場合があり、業績が悪いクリニックでは昇給が見送られることもあります。

しかし、クリニックによっては、病院と同等の昇給制度を設けているところもあり、スキルアップやキャリアアップによって昇給を目指せる場合があります。クリニックの昇給制度は、ホームページでチェックできますが、わからないことは採用面接の際に質問して確認しましょう。

Q3:看護師は何歳まで昇給しますか?

看護師は何歳まで昇給するかは、病院やクリニックの規定によって異なります。一般的には、50代くらいまで昇給する場合があります。

病院やクリニックによっては、定年まで昇給し続ける職場もある一方で、昇給に年齢制限を設けている場合もあります。

まとめ:看護師は昇給しやすいポイントで職場を見つけることが大切

看護師は役職が少ない、運営母体にとって昇給率が異なるなど、さまざまな理由から昇給が難しいと言われている職業です。

しかし、昇給が不可能というわけではありません。長く働いて役職を目指したり、部署内で新しい役割を担ったり、資格を取得したりすることで昇給が期待できます。昇給額が少ないと感じる場合は、昇給しやすい病院やクリニックに転職することも一手です。

これらのポイントを参考に、自分に合った職場を見つけましょう。

<参考サイト・文献>

医療機関における賃金引上げの状況に関する調査|全日本病院協会

令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省

「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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