利用者に寄り添い地域に根差したステーションを目指して~スタッフが安心して働ける職場づくり ハピネス訪問看護ステーション 小野さんにインタビュー~

公開日:2025/02/15 更新日:2025/02/15
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看護師を離れた時期があったからこそ。あらためて看護の仕事に魅力を感じ訪問看護の道へ

看護師免許を取得後は病院に就職し、ICUに配属されて約3年間働きましたが、そこで人間関係に苦労して、看護師を一度離れていました。離れている間は4年弱ありましたが、治験コーディネーターとして、治験を行う会社に就職して勤務していました。

治験コーディネーターとして働いていると、看護師の資格を持ちながら、看護師ではない仕事をしているという点に自分のなかでもやもやする気持ちが出てきたんです。

たとえば、治験の手順のなかで採血をすることがあるのですが、会社の規定で私は採血できなくて、病院の看護師さんにお願いしないといけないということもありまして……。

看護師資格を持っているから本当はできるのに、規定としてできないことがあることにもやもやして、看護師に戻りたいという気持ちがずっとどこかにあったと思います。看護師を離れたからこそ見えてきたことかもしれません。目の前の患者さんに何かしてあげたいという想いがあり「やっぱり看護師としてもう1回働きたい」とあらためて考えるきっかけになったと思います。

そんなときに前の職場の先輩から「訪問看護をやってみないか」と声をかけてもらったんです。当時は埼玉に住んでいましたが、訪問看護の道に進むために千葉に引っ越してきました。もう5年くらい前ですね。当時は、看護師の仕事をしていなかった期間があり、看護の技術的な面への不安はありました。

でも、振り返ってみると、今こうして訪問看護の現場で看護師として働けていることを本当に良かったと感じています。

笑顔で訪問看護への想いをお話しされる小野さん

利用者さんと近い存在だからこそできるサポート。家族への支援も大切に

訪問看護師として、利用者さんに近しい存在として関われたのではないかなと思うケースはあります。

たとえば、訪問看護では看護師でないとできない点滴や褥瘡の処置など医療的なケアを提供しながら、利用者さんとコミュニケーションをとる中でさまざまなお話を聞き、困りごとや望みに気づける立ち位置にいると思います。

食事介助や清潔ケアなどは、ヘルパーさんやケアマネジャーさんも対応できます。しかし、看護を提供しながら日常的に関わるからこそ、より身近な存在として寄り添うことができ、私たちが対応することで利用者さんに安心感を持ってもらえるのではないでしょうか。

あとはご家族の方が悩みを抱えているご家庭もあるので、地域のケアマネジャーさんにつなげて家族看護として関われるのも強みだと思います。在宅での看取りにも関わらせていただいて、本当だったらあきらめてしまいそうな雰囲気のなか、私たち訪問看護をはじめ多職種でサポートして最期まで家で過ごしてお看取りができたケースもありましたね。

より近い距離でサポートしたい。多職種連携で働きやすい職場づくりを意識

訪問看護は、私たち医療者側が「訪問させていただく」という形になるので、利用者さんとの関係がフラットで、距離が近いところがあります。病院だとどうしても医師や看護師が、患者さんに「何かしてあげる」というとらえ方になってしまい、目に見えない上下関係が出てきてしまう気がしますね。

訪問看護で働く看護師には「利用者さんとより近い距離でサポートしたい」という想いを持っている人や雰囲気が柔らかい人が多いなという印象があります。病院の忙しい環境と比べると、訪問看護は心と時間に余裕があるぶん、他のスタッフへの配慮ができるのではないかと感じています。

訪問看護の看護師は年齢層でみたら上の年齢の方が多くなりがちですが、現在当ステーションは30代のスタッフが一番多いですね。年齢の幅はありますが、みんな分け隔てなくコミュニケーションがとれます。人間関係の良さが訪問看護のいいところかなと感じています。

現在、当ステーションには約40名のスタッフが在籍しており、それぞれが異なるスキルや目標を持っています。そのため、すべてを細かく把握するのは難しい部分もありますが、チームとして支え合いながら取り組んでいます。そこで、看護・理学療法・作業療法・言語聴覚の4職種の部門にそれぞれの部門長がいて、その下に主任管理者という体制でスタッフをまとめています。

主任管理者にスタッフの声を拾い上げてもらったり、年に2回は直接スタッフと顔を合わせて面談の機会を作ったりしています。そこで直接お話を聞いて、またそれぞれの部門に情報共有していますね。あとは月に1回、部門長が集まって話をする場を作り、スタッフの中で困っていることがないか聞いて、都度対応しています。

キャリアのサポートでいうと、業者さんを呼んで勉強会を開催したり、研修の案内を情報共有したりしています。私も入職して初年度に心不全療養指導士の資格を第1回目のときに取得しました。循環器系が好きだったので、いい機会だと思って挑戦しました。

スタッフ個人で目標はちがうので、ヒアリングしながら、サポートできる部分はしていきたいと思っています。緩和ケアや認知症ケアの専門看護師の資格を取得したスタッフもいますよ。

スタッフにも寄り添う姿勢で。こまめなコミュニケーションを意識

スタッフとの関係ではコミュニケーションをとることを大切にしています。タイムリーに直接会って話をするのがなかなかできないこともあるので、メッセージで連絡を取り合ったり、空いている時間に電話をしたりしていますね。

困っていることがあれば話をして「こういう方向でやってみたらいいんじゃないかな」とか「ケアマネジャーさんや家族はこういう風に思っているから、こういう形でやるともしかしたらうまくいくかもしれないです」とかいうように、自分の経験も含めて交えて、スタッフに寄り添えるような形で伝えるように意識しています。みんなで集まる機会が少ないというのが訪問看護の病院とはちがう特徴にはなってしまうので、定期的に話し合いができる時間を作れるように心がけています。

談笑する「ハピネス訪問看護ステーション」のスタッフ。小野さんはコミュニケーションをとる時間を作ることを大切にしています

事業所という枠組みを越えて。地域に根差した場所でありたい

今後の目標としては、将来的に当ステーションが地域の人のためになる形でありたいということがあります。利用者さんにとって自宅での生活は、人生の半分以上を過ごす大切な時間なので、一人ひとりの希望や想いをお聞きしながら、寄り添った方法で長く元気に過ごせるようにサポートしていきたいです。

たとえば利用者さんが「自宅で過ごすなかで何を必要としてるのか」「何をしてもらったらうれしいのか」など、近しい存在になれる訪問看護だからこそ見えてくるものだと思います。

あとは、ハピネス訪問看護という枠組みを超えて、リハビリスタッフとも協力しながら、地域の勉強会や健康教室を開催していきたいです。

訪問看護の利用者さんだけでなく地域に住んでいる方や困りごとを抱えている方に役立てるような形で、事業所として成長していきたいと思っています。地域全体が元気になるような取り組みをして「ハピネスさんがいてくれてよかったね」と思ってもらえるような事業所にしたいですね。

訪問看護ステーションには事業所ごとに特色があると思いますが、当ステーションは対人関係の柔らかさや利用者さんに寄り添うところに重点をおいた形を続けていけたらいいなと思っています。今後もスタッフみんなと相談しながら進めていきたいですね。

インタビュアーより

病棟、治験コーディネーター、訪問看護と経験が豊富な小野様。ご自身の経験から、利用者さまだけでなくスタッフにも寄り添う姿勢を大切にされていました。とくに職場の環境においてはスタッフとの対話を重視し、柔らかい雰囲気づくりを意識されています。スタッフの方々が笑顔で安心して働かれている姿が印象的でした!

事業所概要

ハピネス訪問看護ステーション(千葉県船橋市)

住所:千葉県船橋市新高根6-38-12 ロアジス202

運営方針・理念:

誰もが家に帰れるように、私たちが自宅での看護を提供いたします。ケア(care)とは、広い意味では世話、手入れ、メンテナンス、そして配慮や気配りをすることを指す言葉です。怪我や病気、老後の介護など、医療を必要とする方々は、年齢を問わず「ケア」を求めています。

私たちは「ケア」を求めている方々のお世話をすることだけでなく、配慮、気配りを通して、心も体も健康につながっていくためのケアを提供します。そして患者さんが安心して自分らしく生活できるような環境作りをサポートし、気持ちに寄り添ったケアのできる存在であることを目指しています。

事業所紹介ページ:https://ns-pace-career.com/facilities/14501

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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