認定看護師と専門看護師の違いとは?9つの違いや向いている人の特徴

公開日:2025/01/10 更新日:2025/01/10
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認定看護師と専門看護師は、どちらも看護の質を高めるために重要な資格です。

しかし、教育課程や専門分野、役割などの違いがあります。

この記事では、認定看護師と専門看護師、それぞれの違いをわかりやすく解説します。看護師としてキャリアアップを考えている方、どちらの資格を目指すべきか迷っている方は、この記事を読んで、ご自身のキャリアプランに役立ててください。

認定看護師と専門看護師の違いとは

認定看護師と専門看護師は、看護師の方がキャリアアップするための資格です。どちらも高度な知識とスキルを証明するものですが、役割や給料などに違いがあります。

  • 資格を取得する教育過程の違い
  • 専門分野の違い
  • 資格の取得者数の違い
  • 資格取得の難易度の違い
  • 資格取得に必要な費用の違い
  • 求められる役割の違い
  • 勤務先の違い
  • 給料の違い
  • 職位の違い

それぞれの違いを詳しくみていきましょう。

資格を取得する教育過程の違い

認定看護師と専門看護師の違いは、資格を得るまでの教育過程です。

認定看護師の資格を取得するためには、5年以上の実務経験が必要であり、日本看護協会が指定する教育機関で所定のカリキュラムを修了しなければなりません。教育機関で学ぶ期間はそれぞれのカリキュラムによって異なりますが、およそ6ヶ月〜1年です。

一方、専門看護師の資格を取得するためには、実務経験が5年以上という条件があり、看護系大学院の修士課程を修了する必要があります。

約2年間、大学院で専門分野について学び、研究活動もおこないます。そのため、時間的にも経済的にも負担が大きくなりますが、教育や研究分野で活躍したいと考えている方にとって、専門看護師は有力な選択肢となるでしょう。

また、いずれの資格を取得する際には、教育課程を修了したあとに、認定審査に合格しなければなりません。

認定看護師、もしくは専門看護師、どちらの資格を選ぶかは、これから紹介する専門分野や役割などから、ご自身の看護師としての理想の姿に合わせて判断することが大切です。

専門分野の違い

認知看護師と専門看護師とでは、専門とする分野も違います。認定看護師は19の認定看護分野、専門看護師には14の専門分野があります。

資格特定分野
認定看護師・感染管理
・がん放射線療法看護
・がん薬物療法看護
・緩和ケア
・クリティカルケア
・呼吸器疾患看護
・在宅ケア
・手術看護
・小児プライマリケア
・新生児集中ケア
・心不全看護
・腎不全看護
・生殖看護
・摂食嚥下障害看護
・糖尿病看護
・乳がん看護
・認知症看護
・脳卒中看護
・皮膚・排泄ケア
(*B過程の特定分野)
専門看護師・がん看護
・精神看護
・地域看護
・老人看護
・小児看護
・母性看護
・慢性疾患看護
・急性・重症患者看護
・感染症看護
・家族支援
・在宅看護
・遺伝看護
・災害看護
・放射線看護
参考:認定看護師|日本看護協会専門看護師|日本看護協会をもとに作成

認定看護師の特定分野と比べると、専門看護師の特定分野は、患者さまだけでなく、ご家族や地域社会への支援も視野に入れるため、活動内容が幅広いのが特徴です。

資格の取得者数の違い

認定看護師と専門看護師は、資格を持つ人数にも差があります。2023年12月時点での登録者数は次のとおりです。

  • 認定看護師の登録者数(A・B課程合算):24,095人
  • 専門看護師の登録者数:3,316人

専門看護師は、大学院修了というハードルがあるため、取得者数は少なくなっているといえます。

しかし、認定看護師と専門看護師、いずれも登録者数は年々増加しており、高度な専門性を持つ看護師へのニーズが高まっていることがわかります。

まだ人数が少ない分、これらの資格を持つ方は、医療現場で貴重な存在として活躍できるでしょう。

資格取得の難易度の違い

一般的に、資格を得る難易度は認定看護師よりも専門看護師のほうが高いでしょう。

その理由は、専門看護師の資格を取得するためには修士課程の修了が必須であり、より高度な知識と研究能力が求められるためです。大学院では、専門分野にかかわる深い知識を学ぶだけでなく、研究活動を通じて課題解決能力や分析力も養います。

認定看護師は、およそ6ヶ月の研修を修了することで資格取得を目指せるため、専門看護師と比べると、短期間で資格を取得可能です。

しかし、認定看護師の研修も決して容易なものではなく、高い水準を求められます。専門的な知識やスキルを習得する必要があるため、どちらの資格を目指すにしても、しっかりとした準備と覚悟が必要です。

資格取得に必要な費用の違い

資格取得に必要な費用は入学料や授業料、審査料などを考えると次の費用が目安とされています。

  • 認定看護師:約100万円
  • 専門看護師:約200万円

専門看護師は大学院に通うため、費用が高額になる傾向があります。大学院の学費は、国立大学か私立大学かによっても異なり、生活費や交通費のほかに、研究費なども考慮する必要があるでしょう。

さらに、研修期間中に仕事を休まなければならない場合、もしくは仕事を続けても夜勤ができない場合もあるため、その間の支出をコントロールしなければなりません。

求められる役割の違い

認定看護師と専門看護師は、それぞれ求められる役割にも違いがあります。

  • 認定看護師の役割:実践・指導・相談
  • 専門看護師の役割:実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究

いずれの資格も特定のスキルを活かし、ケアの質向上に貢献する役割を担っています。職場の看護師からケアへの意見や看護のアドバイスを求められることもあります。

ご自身がどのような活動を通して看護に貢献したいかを考えることで、どちらの資格が向いているかみえてくるでしょう。

勤務先の違い

認定看護師と専門看護師は勤務先もそれぞれ異なります。

 認定看護師専門看護師
病院89.9%82.3%
訪問看護ステーション4.9%4.4%
看護系の教育機関1.2%8.9%
診療所1.6%0.5%
ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム0.1%0.5%
参考:「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会(看護師全体で割合が高い上位5つを抜粋して記載)

認定看護師と専門看護師、いずれも80%以上が病院で働いていることがわかります。病院に次いで、訪問看護ステーション、看護系の教育機関の順に多いです。

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給料の違い

認定看護師と専門看護師は、給料でも違いがあります。

  • 認定看護師の平均の給与総額:42万9,170円
  • 専門看護師の平均の給与総額:43万5,291円

これらの給料は、働く病院の規模や経験年数、担当している業務などによって異なるため、あくまでも参考としてください。

認定看護師、または専門看護師を目指すのか、この違いは給料の差ではなく、資格を取得してどのように活動したいのか、病院や施設にどう貢献したいのかなどで判断するようです。

職位の違い

認定看護師と専門看護師の職位の違いについては、下記の表のとおりです。

職位認定看護師専門看護師
スタッフ(非管理職)32.3%35.5%
中間管理職(主任、副看護師長、看護師長)54.5%43.1%
管理職(副看護部長、看護部長、副院長)5.7%8.1%
管理職などではないが資格を活かした役割がある6.5%9,2%
経営者・開設者0.4%0.9%
その他0.7%3,2%
参考:「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

認定看護師、専門看護師いずれも中間管理職として、働くケースが多いです。

現場での実践経験を活かし、看護チームのリーダーや教育担当として活躍したり、病院のケアの質向上に貢献したりします。

認定看護師と専門看護師に向いている人の違い

ここでは、認定看護師と専門看護師、それぞれに向いている人の違いを紹介します。

認定看護師に向いている人

認定看護師は、患者さまに寄り添い、特定の分野でのケアを実施して貢献したいと考える方に向いています。

たとえば、褥瘡ケアや緩和ケア、感染管理などの分野に強い関心があり、現場での実践にこだわると考える方におすすめです。

また、認定看護師は、ほかの看護師への指導や教育をおこなう役割も担います。

そのため、後輩の育成に熱意がある方、チーム全体の看護スキル向上に貢献したいと考える方は認定看護師を目指してみてはいかがでしょうか

関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説

専門看護師に向いている人

専門看護師は、より高度な知識や技術をもち、教育や研究、地域連携などの幅広い視点から看護の問題に取り組みたい方に向いています。

たとえば、がん看護や精神看護、在宅看護など特定の分野において、患者さまだけでなく、ご家族や地域社会全体を視野に入れた支援をおこないたいと考える方におすすめです。

また、多職種との連携やチーム医療を推進する役割も担うため、コミュニケーション能力やリーダーシップも重要です。

高度な専門知識を活かし、多方面から看護の質向上に貢献したいと考える方は、専門看護師を目指してみてはいかがでしょうか。

関連記事:専門看護師とは?専門分野14個の種類や認定看護師との違いを解説!

キャリアプランによって認定看護師と専門看護師のいずれが良いかは異なる

どのような働き方をしたいのかによって、目指す資格は異なります。

資格の取得にかかる時間や難易度、費用なども違うため、この点も考慮して考えてみてください。

たとえば、ケアの質や専門性を高めたいと考えたり、現場の最前線で患者さまと接したいと思ったりするのであれば、認定看護師が適しているかもしれません。一方、将来的に教育や研究、地域連携など、より幅広い分野で活躍したいと考えるのであれば、専門看護師が適しているでしょう。

ご自身のライフスタイルやャリアプラン、経済的な状況などから考えて、どちらの資格を目指すかを慎重に検討しましょう。

認定看護師と専門看護師の違いに関するQ&A

ここでは、認定看護師と専門看護師の違いに関するよくある質問に回答します。

専門看護師 認定看護師 どっちがすごい?

専門看護師と認定看護師、どちらがすごいということはありません。

それぞれの資格がカバーする領域や役割が違い、かかわる制度が異なるため、優劣をつけるものではないでしょう。

どちらの資格も、ケアの質向上に貢献する重要な役割を担っています。ご自身がどのような看護をしたいのか、どのようなキャリアを築きたいのかによって、どちらの資格が適しているかが変わってきます。

専門看護師は廃止されるのか?

2024年12月時点では、専門看護師の制度は廃止される予定はありません。

教育課程が変わるため廃止されるという情報が流れることもありますが、資格自体がなくなるわけではありません。

専門看護師の教育課程は、時代の変化や医療ニーズの変化に合わせて見直しがおこなわれています。そのため、今後も教育内容やカリキュラムが変更されることはあるでしょう。

認定看護師と専門看護師の違いを知って将来に役立てよう

認定看護師と専門看護師は、看護師のキャリアを大きく広げる可能性を秘めた資格です。

それぞれの違いを理解し、自身のキャリアプランやライフスタイルに合った資格取得を検討してください。この記事が、看護師の方のキャリア選択の一助となれば幸いです。

<参考サイト・文献>

専門看護師|日本看護協会

認定看護師|日本看護協会 

「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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