経験の浅い看護師はブランクから復帰できる?確認すべき6つとおすすめの職場
「経験が浅くてブランクがあるから看護師として復帰できるか不安」「経験の浅い看護師がブランクから復帰しやすい職場はあるの?」
このように悩んでいる看護師の方はいらっしゃいませんか。
育児休業から復帰する場合や、結婚を機に退職して病院に戻る場合など、復帰を考える事情は看護師の方によってさまざまです。
この記事では、経験の浅い看護師がブランクから復帰できるのか、そのときに確認すべきことを解説します。臨床の現場から離れて復帰を検討しているあなたの悩みを解決できれば幸いです。
経験の浅い看護師はブランクから復帰できる!
看護師として経験が浅く、かつブランクがあっても復職は可能です。
なぜなら、人材を募集している医療機関には「ブランクがある人材も応募OK」「未経験者も応募資格あり」「第二新卒歓迎」などとするところがあるからです。
以下のような職場環境であると、経験浅い看護師の方がブランクから復帰しやすいでしょう。
- 研修が充実している
- 働き方に融通が利きやすい
- 先輩看護師のサポートが手厚い
復帰する際には、自身のスキルや知識を確認して足りないと感じるポイントを埋めたり、研修やセミナーで最新の情報を学んだりすることが大切です。
実際に、看護師2年目で育児休業に入り、5年のブランクを経て活躍している方もいます。
そのため、事前の準備が必要であるものの、経験の浅い看護師もブランクから復帰できると言えます。
経験の浅い看護師がブランクから復帰する前に確認すべき6つ
経験が浅く、ブランクのある看護師の方は、復職する前にスキルや知識を振り返ると仕事に取り組みやすいです。具体的には、次の6つを確認してください。
- 採血や注射のスキル
- アセスメント方法
- 薬の採用や副作用の知識
- 医療機器の取り扱い方法
- 電子カルテの操作方法
- 急変時の対応
それぞれについて詳しくみていきましょう。
採血や注射のスキル
経験が浅い看護師がブランクから復帰する際に不安を感じるのが、採血や注射のスキルです。
これらの技術は、日常的に必要とされるスキルであり、患者さまの安心感にも直結します。
まずは、基本的な手技を確認したうえで、解剖学的な知識や適切な部位の選定、消毒方法などを押さえることが大切です。
近年では、シミュレーターを用いた採血のトレーニングが充実しているところもあるため、実際の現場に近い環境で練習が可能です。
患者さまに安全かつ安心を提供できるよう、しっかりと準備を整えましょう。
アセスメント方法
アセスメントは患者さまの全身の状態を判断し、適切なケアを提供するために欠かせません。
というのも、アセスメントが不十分であると、患者さまの状態を正しく把握できず、異常の発見が遅れたり治療ができかなったりする恐れがあるからです。
臨床現場では、バイタルサインや検査データなどの客観的情報と、問診で得られた主観的情報を、整理・吟味する過程をアセスメントといいます。
復帰したばかりの頃は、先輩看護師の方にアセスメントした結果を報告して確認してもらえると安心して仕事ができますよ。
薬の採用や副作用の知識
基本的な薬の作用機序や適応、副作用などを確認することは大事です。
薬を患者さまに投与するのは看護師であり、薬の知識がないまま投与すると、以下のように患者さまの状態が急変するリスクがあるからです。
- 薬の投与量や時間を間違える
- 薬の副作用の症状に気づかない
- アレルギー反応が出る患者さまに薬を投与する
実際に、一般社団法人日本医療安全調査機構の調査によると、ヒヤリ・ハット事例報告で最も多いのは薬剤関連であり、その件数は35万5,481件です。次いで、療養上の世話(24万3,212件)、ドレーン・チューブ(15万8,018件)、検査(10万7,893件)と続きます。
そのため、配属先でよく使用される薬から学習を始めると、スムーズに対応できます。
病院やクリニックでは薬の入れ替わりはよくあるため、ブランクがある場合は最新の情報を調べましょう。
医療機器の取り扱い方法
経験が浅くブランクがある方にとって、医療機器の取り扱い方法の確認は不可欠です。
特に、以下の医療機器は使用する機会が多いため、操作方法をしっかりと復習しましょう。
- 血圧計
- 心電図モニター
- パルスオキシメーター
- 輸液ポンプ・シリンジポンプ
ほかにも、車椅子やストレッチャーの操作方法も確認しておくと、復職してから安全に移送できるようになるでしょう。
これらの医療機器や介護用品などは、操作を間違うことで患者さまの状態の悪化やケガにつながる恐れがあるため、取扱説明書を読み直してください。
さらに、トラブルシューティングのスキルも必要です。機器の故障や異常時の基本的な対処法を知っておくことで、患者さまに安全な医療を提供できるでしょう。
電子カルテの操作方法
PCに触れたことのない方や、苦手意識の強い方は、事前に初心者向けのPC教室に行っておくと、不安が緩和できるでしょう。
患者情報の入力や検索、記録の保存方法など、日常的に使用する機能をマスターしなければ、業務に支障をきたします。
ほかにも、患者情報の正確な情報共有や、記録の作成に手間取ったりします。
使い慣れるためには練習を積むことが大切です。実際の業務に入る前に、デモンストレーションを通じて操作手順を確認しましょう。
また、復職後は施設ごとの操作マニュアルやガイドラインを参照して、施設独自のルールに従った記録方法を習得することも大切です。
急変時の対応
経験が浅くブランクがある看護師の方にとって、急変時の対応は特に不安を感じやすい部分です。
医療の現場では、患者さまは急変するリスクがあり、臨機応変な対応が求められるからです。
基本的な救命処置の手順を確認して、心肺蘇生(CPR)やAEDの使用方法を復習することが大切です。
実際の急変の場面で慌てないように、事例などを読み、イメージトレーニングをしておきましょう。
経験の浅い看護師がブランクから復帰するときの心境
ここでは、経験の浅い看護師がブランクから復帰するときの心境を紹介します。
- 仕事ができないのではないかと不安
- 患者さまが急変したら怖い
- ブランクから復帰せずに辞めたい
ほかの看護師の方も自身と同じような心境だとわかれば、安心して復帰できるのではないでしょうか。それぞれを詳しくみていきましょう。
仕事ができないのではないかと不安
経験が浅くブランクのある方にとって「仕事ができないのではないか」という不安を感じやすいです。
ただし、この不安を乗り越えなければ、スムーズに復帰することはできません。
そのため、自分のスキルや知識を確認して不十分な分野を勉強しましょう。基礎的な知識を復習し、最新の医療情報をキャッチアップすることは、自信を取り戻すきっかけになります。
また、職場のサポート体制を活用するのも一手です。先輩看護師や同僚に積極的に質問や相談をして、アドバイスをもらうことで不安が軽減されます。
復職したばかりの頃は無理をせず、自分のペースで仕事に慣れていくことが大切です。業務の優先順位を見極め、一つひとつ確実にこなしていくことで働いていた頃の感覚が戻りますよ。
患者さまが急変したら怖い
患者さまが急変した際の対応への恐怖は、看護師経験の浅い方にはつきものです。
日頃から患者さまのバイタルサインを注意深く観察し、先輩看護師に指示を仰ぎましょう。
というのも、病棟によって患者さまの疾患や症状は異なり、急変をする徴候も違うからです。この違いは、病棟で働いていなければ気づけない場合もあります。
そのため、患者さまの急変時の対応をシミュレーションしながら周りのサポートを受けて、新たなスタートを切りましょう。
ブランクから復帰せずに辞めたい
育児休業から復帰するケースで、復職を前に「辞めたい」と感じることは珍しいことではありません。
復職への不安やプレッシャーが大きく、退職を考えるのは自然な反応と言えます。
しかし、退職を考える理由を明らかにして向き合うことが重要です。もし、スキルや知識が足りないことへの不安であれば、研修や勉強会に参加することでその不安は減らせます。
また、職場の環境や人間関係の不安が原因の場合は、転職したり別の病棟に復帰することを願い出たりして、自身に合った職場を選ぶことで無理なく仕事ができるでしょう。
転職をする際には、下記の記事に履歴書の志望動機や自己PRの書き方について例文付きで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:病院の看護師が志望動機を考える10個のポイント!例文つきで解説
関連記事:看護師の自己PRでコミュニケーション能力を強調する方法4つ!例文付き
経験の浅い看護師がブランクから復帰するための学習方法
次に、経験の浅い看護師がブランクから復帰するための学習方法を詳しく解説します。
- 独学で学習する
- 研修やセミナーに参加する
- 日本看護協会が主催する復職者支援研修・実習を利用する
- 都道府県ナースセンターの交流カフェで情報収集する
それぞれの学習方法を知って、あなたに合った方法を選びましょう。
独学で学習する
専門書や研究の論文などから医学や看護に関する知識を独学で学習できます。
関連書籍での学習以外にも、インターネット上の学習ツールや動画サイトを活用する方法もあります。
加えて、学習した内容を実際のケーススタディや問題に置き換えることで、実践力を高められると復帰しやすいです。
ただし、独学は自己管理できなければうまく進められません。自分のペースで学びながら、確実に知識とスキルを身につけてくださいね。
研修やセミナーに参加する
経験が浅くブランクのある看護師がブランクから復帰するためには、研修やセミナーへの参加が効果的です。
専門家による講義や実技指導を受けることで、現場で必要なスキルを短期間で習得できるからです。質疑応答にも対応している研修であると、悩みや疑問を解消できるでしょう。
定期的に研修に参加することで医療の進歩に対応したスキルを維持できるため、スムーズに現場に戻れますよ。
日本看護協会が主催する復職者支援研修・実習を利用する
スムーズに復職するためには、日本看護協会が主催する復職者支援研修や実習の利用も有効です。
具体的には、基礎的な看護技術の確認から急変時の対応、患者さまとのコミュニケーション技術まで幅広い内容がカバーされています。
また、実習では医療現場に近い環境でトレーニングができるため、実践力を高めることで復職後の業務に不安なく臨めるでしょう。
さらに、同じ状況の看護師との交流ができるため、情報を共有したり、悩みや不安を打ち明けることでストレスを解消したりするメリットがあります。
復職を進めるために、これらの研修や実習を積極的に活用してくださいね。
都道府県ナースセンターの交流カフェで情報収集する
経験が浅くブランクがある看護師の方が復職準備を整えるために、都道府県ナースセンターの交流カフェを活用しましょう。
交流カフェは、看護師同士の情報交換やサポートを目的としており、最新の医療情報や職場の環境について情報を得られる場所です。
ここでは、同じような状況にある看護師の方と話せるため、復職に向けた以下のようなアドバイスや体験談など生の声を聞けます。
- 病棟と外来の違い
- 子育てをしながら働くコツ
- 求人サイトや転職サイトの活用方法
- 正社員と派遣やパートの働き方の違い
- 日勤のみ・夜勤のみの働き方のメリット
また、ナースセンターのスタッフからの情報提供やサポートを受けられるため、ブランクから復帰する際の不安や疑問を解消する手助けになります。
復職に向けた準備を進めるために、積極的に交流カフェに参加して情報を収集しましょう
経験の浅い看護師がブランクから復帰するときのおすすめの職場
ここでは、経験の浅い看護師がブランクから復帰するときのおすすめの職場を6つ紹介します。
- 大学病院
- 慢性期や回復期の病院
- 検診センター
- 介護施設
- クリニック
- 訪問看護ステーション
それぞれの職場の特徴を知って、実際にブランクが明けて復帰するときに役立ててください。
大学病院
大学病院は復帰に適した職場の一つです。
大学病院は、研修制度が充実しており、新人看護師の方やブランクから復帰する看護師の方へのサポートが手厚いのが特徴であるからです。
研修に参加する機会が多く、復職前のスキルアップにつながり最新の医療知識を身につけられます。
さらに、大学病院は教育機関としての側面があり、定期的なセミナーやワークショップがおこなわれるため、復帰後も学び続けられるでしょう。
慢性期や回復期の病院
慢性期や回復期の病院は、復職時の良い選択肢と言えます。
急性期の病院に比べて、これらの病院では患者さまの病状が安定しており、急変のリスクが低いため、落ち着いて業務に取り組みやすいからです。
慢性期や回復期の病院は、教育や研修が充実していることが多く、ブランクのある方に対しても適切な指導がおこなわれます。
徐々にスキルを高めていける環境が整っているため、復職後も安定してキャリアを築けるしょう。
検診センター
検診センターはおすすめの職場です。
検診センターの業務内容は、主に健康診断や予防医療であり、問診やバイタルサインの測定、検査の準備などが中心です。基本的には、健康な人を対象としているので、高度な医療は求められません。
また、検診センターの業務はルーチンワークであるため、業務に慣れるのが比較的スムーズです。
介護施設
介護施設の業務内容は、主に高齢者や長期療養が必要な利用者さまのケアが中心であり、バイタルサインの測定や服薬管理、日常生活の支援などです。
病院やクリニックと比べて、介護施設は医療行為に携わる機会が少ないため、ブランクがあり経験の浅い看護師の方でもストレスなく働ける傾向にあります。
また、介護施設では正社員の求人も見つけやすいため、就職には困らないでしょう。
クリニック
クリニックは復職しやすい職場の一つです。
クリニックでは、診療補助や患者さまのサポートが主な業務であり、急変のリスクが少ないため、落ち着いて働けるからです。
完全予約制のクリニックであると、患者さまの数や診療時間も予測しやすいでしょう。
さらに、病院と比べて、クリニックの業務は夜勤がなく規則正しいため、復職後の生活リズムも整えやすいです。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、利用者さまの自宅に訪問してケアを提供するため落ち着いた環境で働けます。
基本的な業務内容には、バイタルサインの測定や薬の管理、日常生活の支援などが含まれます。
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経験浅い看護師がブランクから復帰するときに避けたほうが良い職場
経験浅い看護師の方がブランクから復帰するときのおすすめの職場がある一方で、避けたほうが良い職場もあります。
- 急性期の病院
- 保育園
これら2つの職場は、ブランク明けの復職には向かないでしょう。
急性期の病院
急性期の病院は避けた方が良い職場かもしれません。
給与の水準が高く手当が充実している一方で、急性期の病院は緊急対応や高い専門性が求められ、忙しくストレスが大きい環境であるからです。
患者さまの状態は変わりやすく、その都度迅速に対応しなければならないため、復職初期においてはプレッシャーや業務量が負担となる可能性があります。
復職後に自信を持って業務を続けるためには、急性期ではなくよりマイペースで働ける環境で経験を積むようにしましょう。
保育園
保育園では、主に幼児の健康管理、病気やケガの対応などが求められます。
経験の浅い場合は、幼児特有の症状やケアの理解が不十分であるかもしれません。また、保育園は少人数で運営されているため、園内に看護師は1人としているところもあります。
限られたスタッフで多くの業務をこなさなければならないため、復職する方にとっては負担が大きい場合があります。
復職の際には、保育園特有の環境や業務内容について十分に理解し、準備が整ってから勤務するのが望ましいです。
まとめ
経験が浅くブランクのある看護師が復職する際、適切な職場の選択が重要です。
大学病院や慢性期・回復期の病院、訪問看護ステーションであると、ブランク明けの看護師の方も復帰しやすいです。
一方で、急性期の病院や保育園では、復帰したばかりの初期の負担が大きい場合があるため、慎重に検討しなければなりません。
どの職場においても、研修やサポートが充実しているか、復職に向けた準備が整っているかなどを確認し、自身に合った職場環境で安心してキャリアを再スタートさせましょう。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。