看護師が転職する理由7選!面接でポジティブに伝える方法とは?
看護師として働いている方の中には、これから転職を考えているという方や、転職をしたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
看護師が転職をする理由はさまざまですが、職場への不満を抱えて転職を決めたという方もいるでしょう。しかし面接の際に感じたままネガティブに伝えると、悪印象を与えてしまう恐れがあります。
今回は看護師が転職する理由7選と、転職理由を面接でポジティブに伝える方法も紹介します。
今後転職を検討しているという方や、すでに面接を控えているという方はぜひ参考にしてください。
看護師は転職する人が多い職種?転職理由の前に離職率を紹介
看護師の転職理由を解説する前に、まずは実際の離職率はどの程度なのかみていきましょう。
公益社団法人日本看護協会による「病院看護実態調査」では、2021年度の新卒看護師の離職率は10.3%とされています。
また既卒の離職者は16.8%となっており、新卒と共に毎年割合はほぼ横ばいですが、2020年度よりはやや増加している傾向にあります。2020年より2021年にやや離職者が増加した理由については、コロナウイルスの流行による業務の多忙などの要因も考えられるのではないでしょうか。
次に看護師だけではなく、社会人全体のデータをみていきましょう。同年2021年度の大学卒新卒の1年目離職率は12.3%となっており、他の短大卒や高卒と比べて離職率は低いものの、看護師の新卒離職率と大差はありません。
職種によって離職率に差はあるため一概には言いにくいものの、看護師だからといって特別離職率が高いとは言い難いでしょう。
参照:公益財団法人日本看護協会「「2022 年病院看護実態調査」 結果|新卒看護職員の離職率が10.3%に増加」
看護師が転職する理由7選
看護師は国家資格で需要も高い点から、転職先は幅広く存在するというイメージがある方もいるのではないでしょうか。
転職先が多く存在するという理由だけではなく、看護師が転職する理由はさまざまなものが存在しています。次に看護師が転職する理由7選をみていきましょう。
以前のデータにはなりますが、2010年8月〜2011年1月集計の「看護職員就業状況等実態調査結果」も合わせて参考にしながら解説していきます。
参照:厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果p.28退職理由」
他の勤務先へ興味があったから
前述のように看護師の就職先は病院だけでなく、クリニックや介護施設、保健所や訪問看護ステーションなど多岐にわたります。
周囲の看護学生時代の同期の中には病院以外の就労先で働いているという人もいるかもしれません。
他の看護師の話を聞いていくうちに他の勤務先へ興味を持ったり、さらに自分のやりたい看護の学びを深めたいと考えたりして、違う環境へ転職したくなる看護師もいるでしょう。
他の職場へ興味を持ったと伝えるのは悪いことではありません。ただし興味を持った理由を明確な根拠を持って伝えるのが大切です。好印象を与えるためのコツや面接官が知りたいポイントについては後述で解説しています。
出産・育児のため
出産・育児をきっかけとして転職する看護師の方もいます。
これまで働いていた病院で産休や育休をとりながら働くということも可能な場合もあります。しかし病院によっては休みがとりづらかったり、体力面で働き辛くなってしまったりする方もいるでしょう。
そういった方は、出産のタイミングをきっかけとして退職し転職を考えたり、育児をしやすい環境を探したりする方もいます。特に保育施設が併設していたり、保育園が近かったりして育児がしやすい勤務先に転職する方が多いのではないでしょうか。
人間関係に悩んでいる
看護師は女性の多い職場であり、職場によって程度に差はありますが、上下関係の厳しい文化も根付いている職種です。
「指導者が礼儀作法やマナー、言葉遣いなど上下関係の点でも厳しかった」と学生時代の実習で辛い思いをした看護師もいるでしょう。
実際に看護学生の時だけでなく人間関係に悩む看護師は多い現状にあります。看護師の中には人間関係が悪い、コミュニケーションが取りにくいなどと感じた際、働く環境がよくないと判断して転職する看護師の方もいます。
休暇が取りにくい
看護師の職場は二交替制や三交替制であるところが多く、夜勤があり1日丸々の休暇がなかなか取れないという職場もあります。
また連日のまとまった休みはさらに取りづらく、旅行や帰省などはなかなかしづらいでしょう。
病棟内でも先輩の方が優先的に休み希望を出しており、新人のうちは連休の休暇は取り辛いどころか相談もし辛いと感じる方もいます。
休暇が取りにくいとストレス発散ができず、精神的に辛さを感じてしまう看護師もいるかもしれません。
夜勤のない職場や慢性期など比較的急患がおらず穏やかな職場など、休暇が取りやすい環境へ転職するという看護師の方もいます。もちろん看護師としてのキャリアを続けていくためにも、適度な休暇を取りワークライフバランスを整えていくのが大切です。そのため必ずしも悪印象を与える転職理由とはいえないでしょう。
残業が多いから
休暇が取りにくい点と重複する部分はありますが、残業が多い点も自由な時間や休暇が少なく、看護師にとって働きにくいと感じる理由の1つです。
看護師は前残業という文化が残っているところも多く早く出勤する必要があり、朝は早く家を出なければなりません。また病棟によっては、緊急入院や急変、その記録などで残業が長く発生してしまうところもあるでしょう。
残業の多さからワークライフバランスを取りにくくなったり、体調を崩してしまったりする看護師の方もおり、転職を決断するきっかけとなるケースも多いです。
今の給与に満足できない
看護師の方の中には、夜勤や残業の数、感じる責任感と今の給与が見合っていないと感じてしまう看護師の方もいます。
責務に対して対等な給与が得られていないと感じるとやる気を失ってしまい、さらに高い給与が期待できる職場へ転職したいと考える方もいるでしょう。
この点については個人差があり、転職理由としては悪印象を与えてしまう可能性もあるため、慎重に伝え方を考えなければいけません。
キャリアアップのため
今の職場の環境ではキャリアアップが難しいと判断する看護師の方もいるでしょう。中には資格取得や転職によるキャリアアップを考えて転職を決断する看護師の方もいます。
また自分の描いているキャリアプランの過程で、違う勤務先で働いて経験を積みたいと考えている方もいるでしょう。
例えば在宅看護へ興味が湧いて、キャリアアップの一環として専門看護師の資格取得がしたいと考えたとします。しかし専門看護師は該当の専門分野での臨床経験が3年必要です。
そのためには今の病院の病棟での臨床経験ではなく、在宅看護について詳しく学べる訪問看護ステーションでの経験値を積みたいと考えて転職を決断するといった流れです。
看護師の転職理由をポジティブに伝える方法やコツ
前述の転職理由でも少し解説したように、看護師の転職理由は内容によって悪印象を与えてしまうこともあります。
悪い印象を与えずに、むしろポジティブに伝える方法やコツを紹介していきます。主に下記の4つを知っておくと良いでしょう。
- 他の職場の待遇や人間に対して悪く言わない
- 嘘はつかず具体的に伝える
- 今後の展望や見通しを伝える
- 仕事に対してのポジティブな思いを語る
それぞれ具体的に解説していきます。
他の職場の待遇や人間に対して悪く言わない
実際に給与への不満や残業の多さ、人間関係の悪化のような職場に関する不満は転職の理由として挙げられるものです。これまで転職をした看護師の方の中にも、職場への不満が転職の主なきっかけとなったという看護師の方もいるでしょう。
ただ他の職場や特定の人物に対して悪く思っているという感情を面接の場で話してしまうと、「うちの職場でも不満を抱えるのではないだろうか」「トラブルの元となるのではないだろうか」と面接官は感じてしまう可能性があります。
あくまでも待遇や人間関係については、以前の職場に対して悪く言わないようにし、「これまでよりも、さらに密なコミュニケーションをとって業務に取り組みたい」といったような自分にできる改善点の部分を伝えるようにしましょう。
他責思考で伝えると、何かあった時に周囲のせいにして離職してしまうのではないかという印象も与えてしまいます。
嘘はつかず具体的に伝える
職場や職場の方に対して、さまざまな不満を抱えたまま辞めた看護師の方もいると前述しました。
しかし嘘をついて、自分自身を取り繕うような発言はしないようにしましょう。
自分自身が率直に抱えた思いを他責的ではなく、客観的に具体的に伝えるようにします。
例えば「緊急入院の数が平均して1日〇〇件ほどあり体力的な負担を感じていた」「育児を行っている環境では、保育園への迎えが必要で現場では残業をこなしていくのが困難になってきた」などです。
面接の間でボロが出る可能性もあるため、「今度はさらに頑張るので大丈夫」のような根拠のない発言や嘘で取り繕うのは避けます。現状を伝えること自体は悪いことではありません。
今後の展望や見通しを伝える
客観的に実情を具体的に伝えるのに加えて、自分自身の改善点や今後の見通しなどを交えながら話すと良いでしょう。
「今後は夫や実家と協力しながら子供を預けていくようにして、日勤帯のみの勤務とはなるが、柔軟に対応できるようにしていく」「院内に併設の保育園に預けることで迎えに行かなければならないという悩みは無くなるだろう」などのように、今後の展望や見通しを合わせて伝えていきます。
現実的な内容であれば、納得してもらえる可能性が高くなります。
仕事に対してのポジティブな思いを語る
なぜその職場に転職したいと考えたのか、これまでの患者さまと関わってきた経験や、自分自身の背景を交えながらポジティブに思いを語りましょう。
面接の場面で要点がわからなくなるほど話しすぎるのはよくないですが、なぜその職場へ転職を希望したのかという根拠づけは非常に重要です。
病院の方針や理念についても交えて話すと、志望した想いや理由も伝えやすく、より良い印象を与えられるでしょう。
面接担当者が気になる!看護師の転職理由のポイント
転職にあたり面接が控えている看護師の方としては、面接担当者が看護師の転職理由を聞く際に、何を重点的にチェックしているのか気になるという方も多いでしょう。
最後に面接の前に知っておきたい、面接担当者が気にしている転職理由のポイントをそれぞれ解説します。
面接担当者が気になる要点を抑えておくのは、面接を乗り越えるためにもおすすめです。
転職を何度も繰り返していないか
早期の転職や複数回の転職を繰り返している看護師の方に対しては、特に転職理由が気になっている面接担当者も多いです。
「うちの職場でも早期離職するのではないか」「また理由をつけて転職されてしまうのではないか」といった不安を抱えられてしまいやすいからです。
そのため早期で転職した場合や繰り返し転職している場合は、マイナスに感じられないような第三者が納得する転職理由を考える必要があります。
よくある例としては「労働条件が事前に聞いていたものと異なっていたため、早期退職しました。今度は必ず相違のないようにすり合わせてから入職したいと考えています」という改善点を含めた理由です。
ただし残業が多かった点などを離職理由としてしまうのは、看護師の転職の場合は注意が必要です。看護師の残業は0時間のところもありますが、数時間の残業や20時間ほどの残業は発生してしまう病院が多い傾向にあります。
そのため早期転職や転職を繰り返している理由を「残業」としている方は、「今は改善しており通院しているものの、残業によって体調不良となってしまった」など伝え方に注意が必要でしょう。
自分本位で考えていないか
自分本位で考えてしまう方ではないかというのも、面接官が気にしているポイントです。
例えば「自分に合わない環境だった」「希望していなかった科へ配属されていた」などが挙げられます。
自分に合わない環境であったり、希望でなかった科への配属であったりしても、社会人として、ある程度周囲へ適応する力は求められるものでしょう。
自分に合う職場を探し続けているあまり、「自分には合わなかった」とすぐに転職されてしまわないか懸念しています。
自分本位で考えているわけではないと理解してもらうためにも、他責的な発言だけでなく前向きな転職理由も伝えるなど他の理由も伝えるようにしましょう。
責任転嫁していないか
キャリアやライフスタイルの変化というような自分自身の要因ではなく、人間関係や給与、待遇など、他者や勤務先を要因として転職している看護師の方もいます。
しかし他責思考のすべてが悪いという訳ではなく、その事実を面接担当者にどのように伝えるかが大切です。
実際に1人の看護師によるいじめのようなものが起きており、働くのが困難であったというケースもあるかもしれません。
ただし事実だけを伝えても「あなたにも非があった可能性もあるのでは?」「過剰に受け取っているのでは?」と現状を知らない面接担当者に受け取られてしまうケースもあります。
自分自身に考えられる問題とも向き合ったものの、状況が改善しなかったというように話し方を工夫した上で伝える必要があるでしょう。
その上で前述のようにキャリアプランについてなど、ポジティブな志望理由についても合わせて詳しく話し、好印象を与えていくことが大切です。
看護師の転職理由は第三者が納得できるものを考えよう!仕事への熱意も合わせて伝えるように
今回は看護師が転職する理由7選と、転職理由を面接でポジティブに伝える方法や面接官が気にしているポイントも紹介しました。
転職理由は他者への不満や職場の待遇への不満など、前向きではないものもあります。しかし前向きではない転職理由がすべて悪い訳ではありません。大事なのは第三者が納得できる理由であることです。
また合わせて好印象も与えられるように、仕事への熱意やなぜ志望先で働きたいか理由も合わせて伝えると好印象を与えられるのではないでしょうか。
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