シームレスな連携で利用者さんに安心を~多職種が連携しやすい環境づくり 訪問看護ステーションソピア御殿山

公開日:2025/03/05 更新日:2025/03/05
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急性期から回復期、在宅療養、そして予防介入までを同じ施設で提供されている品川リハビリテーションパーク。そのなかで訪問看護ステーションソピア御殿山は、利用者さまが「自分らしく生活」できるようにさまざまな取り組みをしています。

今回は、リハビリテーションパークの概要や訪問看護ステーションにおけるサポートの実際、そしてそこで働くスタッフの想いについて出射管理者様、山崎様(訪問リハビリ)、佐藤様(訪問看護師)にお話を伺いました。

リハビリテーションパークの概要 病院とのスムーズな連携が強み

出射様:1階には通所リハビリテーション、2階には品川区大崎図書館、3階と4階には介護老人保健施設、5~7階は病院で回復病棟と療養病棟があります。そして8階に訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションの事務所があります。全部署を含めてこの施設を「リハビリテーションパーク」と呼んでいます。病院や老人保健施設、通所、訪問という各部署を「シームレスにつなぐ」がコンセプトです。

同じ財団に第三北品川病院という急性期の病院があるので、利用者さまが体調を崩したときに、病院とすぐに連携できるという強みもあります。病院の方からも訪問看護の依頼があり、私たちが出向いて利用者さまの様子をうかがったり、退院前カンファレンスに入らせてもらうこともありますね。

第三北品川病院は急性期なので、入院日数も短い傾向にあります。退院可能な患者さんのなかには短期間の入院のあいだに介護保険を申請できていない方もいらっしゃるんです。その方が自宅に戻り、やはり在宅医療サービスの介入が必要となると、医療保険の範囲で訪問看護や訪問リハビリテーションが入り、介護保険の申請がおりたら切り替える、という対応もしています。

カンファレンスで多職種と情報の共有を行います

当施設だからできる「シームレスな連携でサポート」

出射様:入院中から退院後の生活まで、シームレスな連携でサポートを提供できるよう努めていますが、在宅での看取りに関してはまだスタッフの人数不足で体制が整っていないのが現状です。将来的には対応していきたいと考えています。

現状では、24時間対応はできるようにはしていて、病院を受診する判断や訪問スタッフへ連絡などの相談はお受けしています。現在介入している利用者さまについては、体調を崩されたときの対応を前もってご家族に確認するようにしていますね。

お看取りの近い利用者さまへ当施設ができるサポートもあるんですよ。たとえば、お看取りが近くなったとき、ご家族も一生懸命に介護されるのですが、お仕事もされているケースがありますね。ヘルパーの介入を増やしても、まかないきれない部分がどうしてもでてくるんですね。

ご家族がお仕事と介護で心身の限界がきたときに、一時的に当施設の介護老人保健施設をすぐ手配することができます。そこで利用者さまのケアをしながら、自宅には定期的に戻るということを何度かくり返して、最期はご自宅で迎えられたケースが実際にあります。

訪問看護としてできるお看取りのサポートは限られていますが、病院の先生や多職種が連携し、一時的に施設で過ごしてもらう対応はできるようになっています。療養計画の柔軟性や、利用者さまのニーズに合わせてさまざまな選択肢を提供できるのは強みのひとつです。

山崎様:ほかにも当施設の強みとしては施設内で相談しやすく、一貫してサポートできることです。利用者さまが施設外の病院を退院して、退院時サマリから情報収集して訪問看護を再開、というよりは、入院中から経過を追って必要なサービスを調整して利用者さまが困らないようにサポートします。

たとえば、活動量をあげるために通所リハビリテーションを導入したり、通所リハビリテーションを利用していた方が病態的に個別にケアが必要になったときに訪問看護にお願いしたりすることもあります。状態が悪くなって24時間の介入が必要になったときには介護老人保健施設に一旦ショートステイで入らせてもらい、その後に7階の病棟に受け入れてもらったりもします。

このように利用者さまに寄り添った選択、ケアを提供できるのは利用者さまを支える連携体制が整っているからこそできることだと思っています。利用者さまやご家族が過ごす場所で悩んだときに、当施設で全部解決できるというのが今後の目指すところです。

研究を推進し、地域医療を支える学びや取り組みをめざしています!

利用者さまに質の高いケアを提供するために。研究にも注力

出射様:当ステーションの利用者さまにはリハビリテーション病院から退院して、リハビリテーションを在宅でも継続したいという方が多くいます。そういった利用者さまのフットケアやリハビリスタッフとの連携には力を入れていますね。

フットケアにも力を入れています。歩くことが人にとってどれだけ大事かということを考えると、やはり足のケアが大事になってくると思うんです。

母体が臨床医学研究所ということもあり、心不全の再入院理由やそのような方のケアの方法などをテーマに研究をしたことがあるんです。その結果で心不全の方へのフットケアが重要であるいるということがわかったのもあり、フットケアに力を入れるようになりました。

山崎様:私たちには、病気の予防的なことにも力を入れたいという想いがあるんです。病院で働いていた時、退院しても2〜3ヶ月で戻ってきてしまう患者さんが多くて……。とくに多かったのが心不全の再入院の方でした。週1回でも訪問看護師の介入があればそのまま自宅で生活できていたかもしれないんですよね。

たとえば、訪問看護師が主治医に相談して、薬剤の調整をしてもらえば入院までいかずに在宅で過ごせたかもしれないんです。状態が悪くなって、レベルが落ちてから病院に搬送されると、また次に自宅に戻るときにすごく大変になってしまうんですよね。

医療処置や専門的なことだけでなくて、医療的なことがない日の訪問も積極的に行うということも予防的な視点から取り組んでいます。そうすることで、利用者さまの再入院を軽減し、生活の質を向上させる支援ができると思っています。

当ステーションは、余裕のある訪問スケジュールになるよう調整しています。その余白を活かして連携の体制を整えたり、フットケアを全部署に浸透させるために研修の時間に当てています。研究にも力を入れ、地域医療を支えるための学びや取り組みができればと考えています。当ステーションではスタッフ一人ひとりに高い能力は求めていなくて、組織として他部署とのつながりを大切にしながら働くことを大切にしています。

なので、訪問看護が未経験の方でも「やってみたい」という思いのある方は受け入れていて、今は若い年代のスタッフもいますよ。働き方にも柔軟に対応できますし、少し時間に余裕を持って働いて、自分のやりたいことを見つけるのも良いのではないかと考えています。

「訪問看護はやればやるほどおもしろい」とお話しされる管理者の出射さん

知らないことも「おもしろい」ととらえる 管理者出射さんの経歴

出射様:看護学校卒業後、大学病院で新人から定年まで勤めました。その後小さな病院やサービス付き高齢者住宅で勤務したのですが、たくさんの学びがありました。

当施設には偶然知り合いがいて、管理業務をやってほしいと声をかけてもらったタイミングで職場を移りました。当時は前任の管理者と一緒にマニュアルの見直しや事業計画にも関わらせてもらいました。私が管理者になったのは、前任の方が異動するタイミングでした。

山崎様:今まで一緒に働いていた管理者の方は、当施設のような医療や福祉の施設が集まっている形態で、どういう訪問看護ステーションを作るのが良いのか方向性を合わせるのがなかなかうまくいかなくて……。出射課長はそんななかでもうまくまとめてくださって、ようやくやりたかったことが実現するなと思ったのが2年前です。

出射様:訪問看護は初めてでしたが、イメージと違っていましたね。利用者さまを訪問するだけではなくて、多職種との連携が不可欠なんだとよくわかりました。やればやるほどおもしろいですね。

看護師になったきかっけは、人と関わる仕事がしたいと思っていたことと、女性でも自立して働きたいという想いがあったことです。両方叶えられるのが看護かなと。今でも仕事のことで落ちこむこともありますが、その経験を通して「自分にはまだ学ぶ必要がある」と思うことにしています。知らないこともまだありますが、それが面白いんだと思うんです。楽しい仕事をしたいと思うと、きっと何か壁にぶち当たるとそれで落ち込んでしまうのだと思うのですが、面白いって思えると、乗り越えるには次からどうすればいいのか考えるんですよね。

利用者さまだけでなくご家族も含めた生活をサポート 看護師 佐藤さんの経歴

看護師としては現在35年目を迎え、これまで当施設の急性期病棟や療養型病棟、回復期リハビリテーション病棟、介護老人保健施設でのキャリアチェンジをしてきました。訪問看護ステーションに異動して現在3年目になります。当施設は急性期から回復期まで一貫して患者さまをみることができるので、同じ法人内でキャリアチェンジできたことは良い経験になりました。

訪問看護ステーションに異動になるまでは、利用者さまの自宅に訪問することがなかったので、とても新鮮でした。訪問に関して受け入れが難しい利用者さまもいましたが、関わっていくうちにいろいろな話をするようになって、訪問を待っていてくれたりするとうれしかったですね。病院ではどうしても限られた時間内での関わりになってしまいますが、訪問看護は長期的に関わって経過をみれることが魅力だと思います。

訪問看護で大事なことは、利用者さまだけでなくご家族や生活習慣、自宅の環境なども含めてみることだと思います。たとえば、病院だと喫煙は一切だめですが、喫煙習慣がある方が自宅に戻るとやっぱり吸ってしまうんですよね。それを一方的にだめだと強制的に伝えるのではなく、経過をみながら少しずつ指導したり生活習慣のアドバイスをしたり、利用者さまの価値観に寄り添うことが大切だと感じています。そこが病院でみていた患者さまと訪問看護を通して自宅で過ごす利用者さまの生活をみてきたなかで感じた違いですね。

訪問看護の難しいところは、ご家族への指導です。たとえば、利用者さまが体調を崩されたときに、訪問診療の医師が介入していればすぐに診てもらうようにお願いできますが、そうでない場合にはご家族に対応をお願いすることがあります。「こういう場合は早めに受診してください」と具体的にお伝えするようにしていますが、受診のタイミングを伝えるのが難しいなと感じています。

ご自身の訪問看護への想いをお話しされる佐藤さん

多職種とのつながりが強み。「訪問看護がしたい」という思いを大切に

現在、利用者さま全体でみると要支援の方が多いのですが、今後はターミナル期の方もみていけたらと思っていて、そのために今は体制を整えている最中です。フットケアや心不全の予防にも力を入れたいと思っています。訪問看護分野では珍しい、研究や発表にも積極的に取り組んでいるんですよ。去年は足病変から心不全の増悪の原因を調査するという内容で、とても勉強になりました。

当施設ではリハビリスタッフやケースワーカーなどが事務所内にいるので、顔を合わせる頻度も多いですし情報共有もしやすい職場だと思います。看護師のなかにはさまざまな経験をしてきたスタッフがいて、私のように病棟の経験がある人もいれば未経験の人もいます。いろんな経験がありながらも「訪問看護がしたい」という思いを持った人であればきっとやりがいを持って働けるのではないでしょうか。臨床経験はあまり関係ないと思っていて、礼儀やマナー、笑顔での対応や、信頼関係が築けるかなど、人として基本的なことが大切なのではないかと思っています。

インタビュアーより

お話を伺った管理者の出射様、山崎様、佐藤様の「利用者さまに寄り添った質の高いケアを提供したい」という姿勢が印象的でした。スタッフ同士で助け合いながら働く文化があり、職場全体の雰囲気が柔らかい素敵なステーション様です。経験年数に関わらず、訪問看護が未経験の方でも受け入れられています。「訪問看護をやってみたい」という想いをお持ちの方はぜひお問い合わせください!

事業所概要

訪問看護ステーションソピア御殿山(東京都品川区)

住所:〒141-0001 東京都品川区北品川5丁目2番1号

運営方針・理念

「おうちで暮らしたい」利用者さんの想いに寄り添う看護

利用者さんとそのご家族が生き生き安心して暮らせるよう、看護師が専門知識・技術を生かし真療の心をもって「あなたらしい生活」をサポートします。

事業所紹介ページ:https://ns-pace-career.com/facilities/14452

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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