キャリアダウンや寄り道と思われるような経験も活かせる訪問看護 大石さんにインタビュー ~アトリオ訪問看護ステーション~
今回はこちらのアトリオ訪問看護ステーション様にお伺いいたしました!
まずはこれまでのキャリアプロフィールをお聞かせください。
訪問看護の原体験
一番最初に看護師になろうと思ったのは、母が32歳でがんを発症し、闘病していたんですが、当時は病院の入退院が中心で、在宅で看取るという選択肢や介護保険制度もなく、39歳で亡くなるという経験がきっかけとなっています。そのとき私は中学生で、最初に接した女性の専門職が看護師さんでした。それ以外にも、きちんとした収入があるとか、働く場所がたくさんあるといったことも理由にはなってくるのですが、高校卒業後看護学校に入り、看護師を目指しました。
最初の勤務先は、都下の総合病院で、外科系の病棟を希望し、最初の配属は婦人科と泌尿器科でした。入職して3年目ぐらいで病棟の編成や制度変更があり、病棟自体が婦人科と皮膚科、口腔外科脳外科の混合病棟に変更になり、術前後のケアや慢性期のケア、お看取りなども行うことになりました。混合病棟であったことや、入退院が激しく夜間の救急対応もあったこと、その後内科に異動しALSのレスパイト入院の対応や看取り期の退院調整など在宅支援の一端に携われたことなど、様々な経験を積むことができたと思います。
すごく色々な科を経験されたのですね。訪問看護に携われたのはいつ頃でしょうか?
私が勤め始めた頃は看取りを在宅でというより病院で看取ることが多かったですし、家族支援も非常に難しいと考えておりましたが、訪問看護への憧れはありながらも病院での業務に追われていました。自身の技術や能力を上げないと在宅看護はできないなと思っていたのもあります。ただ、私自身も結婚・出産を経て、務めていた病院は退職していたので、産後復帰するにあたって、在宅看護に挑戦してみようと奮起し、訪問看護にパートで就職しました。思い返すと専門学校の実習にで、訪問看護の病院との看護の違いに衝撃を受け、実習が楽しかった印象があったのも要因かなと思います。
訪問看護は、病棟での看護のイメージとは違っていて、関わり方もそうですし、目的や結果は同じなのかもしれないですけど、方法とか手段を患者さんと看護師が一緒に考えていく様子がとても魅力的に思えました。就職先の管理者も子育てに理解のある方で、パートでしたけど色んなケースに関わらせていただきました。最初は在宅看護の仕組みすら全然分かっておらず、ケアマネとは?介護保険とは?みたいなこともまっさらな状態で入職したところから、一つずつ覚えていきましたね。
面白いのは、母親業がそのまま在宅看護に活きてくるとすごく感じたことです。自分が我が子に対して思うのと同じように大事に思われている人を丁寧にケアし適切な状態に保つ手伝いをするという基本的なことが、やっぱりすごく大事なんだなと、感じました。
出産や子育てを機にパートに転向されてキャリアダウンと考えてしまわれる方が多い中、その視点はとても面白いですね。
はい、訪問看護ステーションで働いていると、子育てが仕事に活きるとすごく感じることがあります。病院などで働いている看護師さんも訪問看護師になるとキャリアダウンに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、「子育てを含めた様々な経験は訪問看護師の仕事に必ず活きる」と私は思っているので、子育てをされている方もこれから家族が増える予定の方も安心して訪問看護に携わって欲しいと思います。
幅広い職種経験が訪問看護に生きている実感
私の経歴としましても、最初に訪問看護を経験した後、地域包括支援センターの看護師に転身しています。権利擁護や、虐待の対応、困難事例の個別支援など諸々経験をしました。訪問看護にいた時は、“ケアマネ側からはどんな風に見えているんだろうか”だったり、“ケアマネジメントをもうちょっとこうしてくれたら、こちらももうちょっと動きやすくなるのに”みたいなことを思っていたので、逆の立場に立ってみて、違う視点というか、ケアマネジメント側から見た景色が非常に勉強になりました。
その一方で、多くの学びを得ることができまたとも思っています。それまでの自分とは畑が全く違う社会福祉士の仕事、例えば虐待対応や後見制度などを勉強したことによって、医療側にいたときには全く見えてこなかった部分、例えば社会的弱者に対する見え方なども変わりました。
ただ、地域包括支援センターでの看護師の役割は、地域保健や介護予防、連絡調整や必要な関係先との連携を担うもので、実際にケアに直接携わることがないため、現場に復帰したいという思いは年々強くなっていました。
患者さんごとに見え方や困っている事が違っているということ、介護予防やケアマネジメント、虐待対応や権利が守られてない方の権利擁護に関する視点などは、包括支援センターで働いたことで学べたと感じています。
地域包括センターでの経験もまた訪問看護の仕事に生かされているんですね。
そうですね。当時、自分としては医療の現場から離れてしまったという思いはありました。そのため、医療に関わり続けるために研修に参加するなどの努力は重ねていました。しかし、今振り返ってみると、社会福祉士や主任ケアマネジャーと一緒に働くことで他の職種の視点を知ることができたことは、結果的に良かったと感じています。
地域包括支援センターを退職後、現職のアトリオ訪問看護ステーションに入職しました。数年ほど勤務した後、前任の管理者の退職に伴い、管理者として声をかけていただいた時には正直驚きました。私は当事業所の職員の中で勤務年数は長くなく、このような評価をいただけたことはありがたく感じましたが、家庭との両立も考え非常に悩みました。
後日、家族の理解を得て管理者を引き受けることにしました。事業所のスタッフに信頼がおけ、必要時に個々で適切に対応してくれ非常に助けられています。たまに困ったことがあると休日や時間外に電話がかかってくることもありますが、だいたいが報告や相談してもらえる方がよかったケースなので、電話するか否かの判断も適切です。信頼できるメンバーでなければ私は管理者を引き受けられなかったと思います。だからこそ、仲間を守りたいという気持ちが強いです。
管理職になり感じていることとしては、管理職はマネジメントを意識することが重要と思っています。みんなが楽しく仕事ができるようにするにはどうすれば良いかを常に考え、日々取り組んでいます。
冒頭の話に繋がりますが、訪問看護師として働く理由のひとつに、自分の母親にしてあげたかったことを、いわばリベンジしているような気持ちがあるのかもしれません。母が亡くなったとき私は中学三年生で、何もできなかったという思いがずっと心に残っています。そのような思いを、他の方々が抱かなくても済むようにと思って関わっているような気がします。
私は日々、スタッフと共に看護を提供しているわけですが、提供している以上に私自身が仕事のやりがいや利用者さんやご家族の温かさを感じさせてもらい、達成感を得ています。学生のときに「こんな世界があるんだ」と感じた思いを今でも持ち続け、それを実現しようと模索しながら仕事に取り組んでいます。だからこそ、私は訪問看護の仕事が楽しいです。
ただ、本音を言えばデスクワークよりも現場に行きたいんですけどね(笑)。利用者さんやそのご家族と一緒に悩み、今日はこうしてみようかとかアイディアを出し合うことが好きなんです。私一人では足りない時は、みんなで話し合い、例えば医師にどのように報告したら利用者さんやご家族にとってよりよくなるかを考えるなどします。私達にとって都合が良い道ではなく、利用者さんにとっての素敵な在宅生活を一緒に作り上げていくことに喜びを感じています。
今後、訪問看護ステーションでやっていきたいことも教えていただけますか。
利用者さんには、できるだけ今の思いに寄り添いながら一緒に在宅生活を、楽しくとまではいかないまでも、穏やかに過ごせるような関わり方を常に考え続けていきたいと思っています。また、スタッフが働きやすく、事故を起こさない環境を整えることが重要だと考えています。事故を防ぐためには、しっかりと休息を取り、ストレスを発散できる環境が必要です。外での仕事は大変なことも多いので、職場がそのストレスを吐き出せる場所でありたいと思います。
また、私自身もパートから訪問看護を始めたということもあり、パートの方も大歓迎です!
インタビュアーより
看護の原体験であるお母さまのお看取りや、出産・育児を経たすべてが訪問看護の仕事に繋がっているというご意見に、こちらもはっと気づかされました。また、大石様は様々な勤務形態や職種でのご経験をお持ちですので、働き方についても幅広くご相談にのっていただけると思います。訪問看護を楽しみたいと思っている方にはうってつけのステーションかと思います。ご興味のある方はご連絡をお待ちしております。
事業所概要
アトリオ訪問看護ステーション(埼玉県さいたま市中央区)
住所:埼玉県さいたま市中央区上峰4-8-18
事業所概要:【医療法人 明医研グループ】「温かく信頼でき納得行く訪問看護」を目指しているステーションです。
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。