訪問看護における医療保険と介護保険とは?
病院にいるとなかなか保険のことや制度のことを理解していなくても業務を行うことも可能ですが、訪問看護を実践していく上で保険・制度周りを理解しておくことが求められます。その中でも、まず医療保険と介護保険に関して理解することが必要なので概要を説明します。
訪問看護における介護保険
(利用条件)
・医師から「訪問看護指示書」の交付があること
・要介護や要支援の認定を受けた65歳以上の人
・要介護や要支援の認定を受けた40歳以上65歳未満で16特定疾病の人
(負担割合)
月額の1割(一定以上の所得者については2~3割)※月の支給限度額を超えたサービス分は自己負担
自己負担割合が1~3割のどれ該当するかは、「介護保険負担割合証」を確認することで把握できる
(利用回数、時間)
訪問看護の利用回数に制限なし
一回の利用時間は①20分未満、②30分未満、③30分以上60分未満、④60分以上90分未満までの4区分のなかから、 必要性に応じて判断
訪問看護における医療保険
(利用条件)
・医師から「訪問看護指示書」の交付があること
・40歳以上で要介護・要支援の認定を受けていない人
・40歳未満の人(特に重い病気の場合、要介護・要支援の認定を受けていても特例として利用できる場合がある)
(負担割合)
月額の1〜3割(年齢、所得による)
(利用回数、時間)
基本的には週1〜3回、30分〜90分/回
※別表7、8に記載ある疾病等の利用者(特に重い病気や症状がある方で主治医が認めた場合、厚生労働大臣が定める疾病等に患っている方)に対しては、週4回以上の訪問、1日複数回の訪問、複数の訪問看護ステーションから介入が可能となります。
上記が簡単な概要となります。
介護保険と医療保険は、同時に利用することはできず、基本的に要介護や要支援の認定を受けている場合は介護保険が優先となります
オススメの学習本3選
ここからは、僕自身が諸制度の学習の際に利用したオススメの学習本3選をご紹介いたします。
僕自身はこちらの3つの書籍で医療保険・介護保険に関して学び、実務の中で制度の理解が不十分だと思った際には読み返して少しずつ理解を深めていきました。
『訪問看護師のための診療報酬&介護報酬のしくみと基本 2020(令和2)年度改定対応版』
(発行=メディカ出版、著・編集=清崎 由美子・宮崎 和加子、発行日=2020年7月16日)
https://www.amazon.co.jp/訪問看護師のための診療報酬-介護報酬のしくみと基本-2020-令和2-年度改定対応版/dp/4840472521
『訪問看護実務相談Q&A 令和3年版』
(発行=一般社団法人全国訪問看護事業協会、発行日=2021年9月)
https://www.chuohoki.jp/category/C0802/8363.html
『報酬・制度・実践のはてなを解決 訪問看護お悩み相談室 令和3年版』
(発行=公益財団法人日本訪問看護財団、発行日=2021年8月20日)
https://www.chuohoki.co.jp/products/medical/8359/
制度に関して理解することは通常の訪問看護業務には直接的には関係が無いように思われることもありますが、保険制度に対しての理解することで制度の枠組みの中でのより良いケアプランを考えられるようになっていくこと、そして看護展開の幅も広がっていくこと、といったメリットはとても大きいです。
利用者利益につながっていく重要な知識ですので、保険やその周辺知識の理解をしっかり深めてみてください!
▼執筆者プロフィール
藤井 達也
地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。