訪問看護の研修会・勉強会
訪問看護ステーションにおける研修会や勉強会の実際に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?僕が所属しているステーションでは、e-Learningを利用して自主的に基礎・応用学習ができる環境や認定・専門看護師による同行訪問や教育機会がありますが、これは一般的ではないかと思います。
多くの訪問看護ステーションでは教育に割ける人員・時間に制約があるため外部の教育機会を利用していくことになるので今回説明していきます。
①都道府県看護協会、看護教育機関等の教育機会を利用する
例えば、東京都では、地域包括ケアの中心的な役割を担う訪問看護師の確保・育成・定着を支援するため、平成25年度より「東京都訪問看護教育ステーション事業」を実施しており、経験豊富な訪問看護師に同行させてもらい必要な知識・技術を学ぶことができます。また、カンファレンスに参加して実際の訪問看護における看護展開や地域連携について学ぶこともできます。その他、日本訪問看護財団等でも研修企画があるため希望に合わせて参加してみると良いかと思います。精神科に関しては精神科訪問看護を実施するためには「精神科訪問看護基本療養費算定要件研修」を受講しなければいけないためそこで基礎知識を学ぶことになります。現在はコロナ禍で良い意味で様々な勉強会がオンラインとなっており、アクセスしやすい状況なので積極的に時間を見つけて参加してみてください。
また、近隣のクリニックや訪問看護ステーションが勉強会を企画することもあり、参加することで知識が得られるだけでなく、顔の見える関係となり今後の訪問看護業務の際に役立つことにもつながるので近くで何か勉強会ないかな?とアンテナを張っておくと良いでしょう。
②別法人の病院や施設で看護技術研修をする
こちらは個人でできることではないですが、ステーションとして近隣の病院やクリニック、ステーションと連携を組んで相互研修ができると良いと思います。僕の所属するステーションでは近隣の病院に訪問看護師が病棟やNICU、地域連携室に見学・実習をさせていただくことや逆に病院の看護師をステーションに受け入れて同行訪問するといった相互研修を実施しています。そうすることで知識や技術を身に付けるだけでなく、訪問看護師は入院中の治療の様子や患者・家族の思いに触れることができ、また、病院看護師は退院後の生活のイメージを持つことができるようになるため病院と地域の垣根をなくすことにもつながっていきます。
③ステーションが独自に開催する(主に社内向けの)勉強会
個々のステーションが開催する勉強会もあります。主に社内向けで開催することが多いのですが、メンバーに認定や専門といった専門性を持った看護師が在籍する場合は、社外の方をお招きして勉強会を行うこともあるようです。
ここでは、僕の所属するステーションが、スタッフ教育をする上で意識的に取り組んでいる取組みを2つご紹介します。
- 定期的な事例検討、症例カンファレンス
同行訪問の中でもケア手順をだけでなく看護展開に関しても共有することを意識していますが、定期的に事例検討を実施することでそれぞれの看護師がどんな情報から何を考え、行動したのかを振り返る機会を設けています。その際にメンバー全員が意識している、とても重要なルールが「意見を否定しないこと」。訪問看護ステーションでは、様々な環境・年代で教育を受けてきた背景の異なるメンバー同士が一緒に働くことが多く、そこでは大なり小なり意見の食い違いが生じることは避けられません。その際に、お互いの意見を否定せず、ポジティブなフィードバックをすることを徹底することで、メンバーのみんなが意見を出しやすい空気を作っていくことは、とても大切な心がけだと痛感します。
事例検討を通して思考過程を振り返り、互いに共有することでチーム全体としての看護の質の向上にもつなげています。
- (新人は特に)1ヶ月ごとに教育目標の擦り合わせ
新人は幅広い知識・技術が求められる訪問看護業務の中で何から学べば良いのか迷うことは当たり前です。そのため1ヶ月ごとの目標設定を伝えて、何を学び、理解しておくべきかを把握できるようにしています。そして、週1回のカンファレンスの中で進捗具合の共有をしてもらいスタッフ全員で新人の成長を支援できる体制を作っています。
以上となります。訪問看護ステーションでは病院と比べて確立された教育体制を敷かれていることは少ないと思います。しかし、限られたリソースの中で教育機会を得ることは十分に可能です。介入しながら疑問に思ったことを都度学んでいき、どんどん知識・技術を身に付けてください!
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