訪問看護師が直面する2つの壁と乗り越えるための思考のヒント
訪問看護師の藤井です。
訪問看護未経験の看護師教育を担っている中で、新卒でも、病院での勤務経験があったとしても、皆さんが共通して直面する2つの大きな“壁”があることに気づきました。僕自身も病院から転職して直面しました。
この“壁”を知り、少し思考を変えると訪問看護の現場で働くことがもっと楽しくなると思いますので、ご紹介したいと思います。
①必要以上にリスク管理してしまう
訪問看護の現場は利用者にとってリスクがたくさんあるように見えます。転倒・転落、感染、薬の飲み忘れ…目の前にはリスクだらけ。そのため、リスク管理目的で必要以上の社会資源の導入を検討するケースをよく見かけます。
でも、在宅は、利用者・家族の生活の場。それぞれの生活リズム、スタイルがあります。管理目線で介入していくと限界があります。
そこで、一度立ち止まって《今リスクと捉えていることは顕在化することで誰にとって、何が問題なのか?》考えてみるといいです。案外そのリスクは問題ではないことが多いです。
②結果を求めてしまう
病院は急性期化しており、治療へのアプローチが多くなっています。そのため、“治療の達成”、“退院”を目標として看護師も介入方法を検討していくことが多いと思います。また、検査データの結果やADLの向上など分かりやすい形で結果が出るため、介入の方向性もある程度決まっています。
でも、訪問看護の現場では目で見える形での結果は少ないです。そのため、この介入方法でいいのだろうか?間違っていないだろうか?など、すごく不安になることが多いです。
そんなときは、《利用者さんはどんな生活を送りたいのか?なぜそう思っているのか?》この辺りをコミュニケーションで把握しながら、どのように介入していくか検討していくと良いです。訪問看護の結果は、利用者の“満足感”だと思います。
以上となります。
僕自身、救命救急センターから訪問看護に飛び込んだので、入職当初は“リスク管理”と“結果”に目が向いてしまい、利用者さんからクレームを頂くことが多かったり、介入方法に不安に抱くことが多かったです。でも、
- 今リスクと捉えていることは顕在化することで誰にとって、何が問題なのか?
- 利用者さんはどんな生活を送りたいのか?なぜそう思っているのか?
上記の2つの視点を持ちながら介入することで、利用者さんからの反応が良い方向に変化して、自信にもつながりました。
少しの思考の変化で訪問看護がより楽しくなると思います。参考にしていただければ幸いです。
▼執筆者プロフィール
藤井 達也
地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。
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