認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説

公開日:2023/12/28 更新日:2023/12/31
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看護師の方の中には看護師としてのキャリアを歩んでいく過程で、キャリアアップを考えている方もいるでしょう。

キャリアアップの手段の一つとして、認定看護師の取得が挙げられます。

今回は認定看護師になるにはどうすれば良いのか、条件や取得までの流れや資格取得によるメリットを解説します。

また認定看護師と比較されやすい専門看護師との違いも解説するので、気になっている方はぜひ参考にしてください。

認定看護師とは?専門看護師との違い

認定看護師とは英語でCertified Nurseと呼ばれ、日本看護協会の定義では「ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として、本会(日本看護協会)の認定を受けた看護師」を指します。

通算5年以上の実務経験を持ち、600時間以上の認定看護師教育を修めて、認定看護師認定審査に合格することで取得できる資格です。認定看護師になるための条件や資格取得までの詳しい流れは後述していきます。

特定の看護分野の中でも実践・指導・相談の3つの役割を果たすのが認定看護師とされており、2022年12月時点では20,710名が認定看護師【A課程】に登録されています。

認定看護師は専門看護師とよく比較され、違いがわからないと感じている看護師の方もいるでしょう。実は認定看護師と専門看護師は、立場や役割など大きく異なっています。

専門看護師も5年の実務経験を必要とし専門看護師認定審査への合格が必要ですが、対象の専門看護分野が認定看護師とは異なっています。

専門看護師について詳しくは日本看護協会のサイトをご覧ください。

参照:日本看護協会「専門看護師」

参照:日本看護協会「専門看護師ってどんな看護師?」

参照:日本看護協会「日本看護協会の資格認定制度について (制度の現状)」

参照:日本看護協会「認定看護師」

参照:日本看護協会「認定看護師ってどんな看護師?」

※記事内の認定看護師に関する資格の条件などの情報は上記日本看護協会公式サイトから参照

認定看護師になりたい方に知ってほしい認定看護師制度の改正

前の段落で記載していた【A課程】というものがあるように、現在、認定看護師制度には【A課程】と【B課程】の2つがあります。

2021年度から認定審査を開始した19分野を取り扱うB課程に対して、A課程は21分野であり、B課程はA課程の21分野からいくつかの分野が統合された形となっています。

2019年2月に看護現場が地域に移行していくことが期待されて、認定看護師規程の改正がされ、B課程の取り扱いが始まりA課程の廃止が決まりました。

A課程は2029年には認定審査を終了しますが、すでにA課程の資格を保有している場合は、永続的に更新審査を受けられます。

また、A課程からB課程への移行は特定行為研修を修了する必要があります。

細かな更新条件など詳しい詳細については日本看護協会へお問い合わせください。

認定看護師になるには?条件や費用、流れを解説

どうしたら認定看護師になれるのか気になっている方もいるでしょう。冒頭で記載したように、キャリアアップを目的に認定看護師の取得を考えている方のためにも、認定看護師になるための条件や、一連の流れと費用をそれぞれ分けて解説していきます。

認定看護師になるための条件と流れ

認定看護師になるためには、まず通算5年以上の実務経験が必要です。そして5年の実務経験のうち、取得したい​認定看護分野​での実務経験が3年以上あることが求められます。

さらに認定看護師教育機関へ入学し、教育課程を修了したあと、筆記試験である認定審査を受験しなければなりません。

合格した後は、認定看護師認定証を交付し登録され「特定認定看護師」と名乗ることが可能になります。

ただし認定看護師の資格は取得したら終わりではなく、5年ごとに更新が必要で、看護実践などの自己研鑽の実績を書類にまとめて提出しなければなりません。取得したからといって現場を離れてしまうと、更新のタイミングで実績がなく資格を失効してしまう可能性があるため、更新の条件についても事前に確認しておくと良いでしょう。

認定看護師になるためにかかる費用

認定看護師になるためには、ある程度の予算を確保しておかなければなりません。

認定看護師の取得までにかかる費用は、約150万円〜200万円程度はあった方が良いでしょう。

項目費用
認定看護師教育機関入試費用&入学金約10万円
授業料約100万円〜
実習費用約10万円
認定審査料51,700円(税込)

他にも交通費や教材費、通信機器や電子機器の購入費用なども含まれるので、最低でも表の金額に加えて50万円は見積もる必要があります。

もし更新せずに認定看護師資格が消失した後、再認定審査を受ける場合は30,800円(税込)が必要です。

金銭的に難しいと悩んでいる方は、日本看護協会の認定看護師教育課程奨学金のような奨学金制度を利用したり、働いている病院が支援制度を設けていたら支援制度を利用したりすることもおすすめです。

認定看護師を検討しているのであれば、一度職場に相談してみると良いでしょう。

参照:日本看護協会「認定看護師教育課程奨学金」

認定看護師になるメリット

ここでは認定看護師になろうと考えている方に向けて、認定看護師になると得られるメリットを解説していきます。主に考えられるメリットは下記の3つです。

  • 昇進や給料アップなどの待遇改善が期待できる
  • 仕事の幅が広がる
  • 周囲からの信頼を得られて働くモチベーションが上がる

それぞれ詳しく解説していきます。

昇進や給料アップなどの待遇改善が期待できる

認定看護師になることで、必ずとは言えませんが主任や看護師長など役職の昇進や、資格手当などの給料アップが期待できます。

ただし、すべての看護師の待遇改善が期待できるというわけではなく、認定看護師になったからといって必ずしも昇進や給料アップするわけではありません。

実際に、時間やお金をかけて認定看護師になったのに待遇は変わらなかったという看護師もいます。

あくまでも昇進や給料アップを目的にするのではなく、自己研鑽など他の目的で認定看護師を目指すと良いでしょう。

仕事の幅が広がる

認定看護師になると、特定の看護分野についての知見が資格を持って証明されることとなります。

そのため教育や指導などの立場にたったり勉強会を開催する立場になったりなど、これまで携わってこなかった仕事を受けられるようになり、仕事の幅が広がる可能性もあるでしょう。

時には院外でセミナーや勉強会を開催し、より良い看護について自分が勤めている病院以外の医療従事者と話す機会もあるかもしれません。

認定看護師になった後も自己研鑽していきたい方にとって、働いている病院以外の方と関わることは、非常に良いメリットと感じられるでしょう。

周囲からの信頼を得られて働くモチベーションが上がる

認定看護師になるということは、前述したように特定の看護分野について知見があると証明していることとなります。

そのため周囲から確実な知識や技術を信頼されて、頼りにされるという状況も増えるでしょう。

現場でさらに必要とされることで、自分自身が現場で働くモチベーションが上がるのではないでしょうか。

認定看護師が活躍する場所

認定看護師が活躍している現場は、例として下記のような場所があります。

  • 病院
  • 訪問看護ステーション
  • クリニック
  • 介護保険施設など

病院で働くイメージが強いかもしれませんが、今は地域包括ケアシステムの構築に向けて国を挙げて在宅に医療現場が移行していっている状況です。

そのため在宅で専門性を活かしたいと、訪問看護ステーションや介護保険施設のような地域に根付いた環境で働く認定看護師もいます。

訪問看護ステーションに所属する認定看護師は、2022年12月時点で845名が登録されています。

認定看護分野では「在宅ケア」「皮膚排泄ケア」「認知症看護」「摂食嚥下障害看護」など幅広く活躍しています。

また、人生の最終段階で過ごす場所として、自宅を選ぶ人が年々増加しているため「緩和ケア」の認定看護師も、在宅の現場で多数活躍されています。

参照:厚生労働省「平成29年度「人生の最終段階における医療に関する 意識調査」」

訪問看護師が認定看護師を取る意味・必要性

訪問看護師が認定看護師を取得すると、訪問看護の現場においてスペシャリストとしてステーションのメンバーを牽引していく役割を担うことも可能です。

認定看護師の知見を活かした勉強会を開くことも可能なため、訪問看護ステーション全体の看護の質を底上げできるでしょう。

訪問看護ステーションの看護の質については、訪問看護ステーションが乱立する中で課題の1つとして厚生労働省も注目しており、診療報酬の改定なども検討されています。ステーションを長期的に存続させていくという目線でも、訪問看護師が認定看護師を取るのは非常に重要と言えるでしょう。

参照:厚生労働省「訪問看護(改定の方向性)」

参照:厚生労働省「中医協総-2 20231020|在宅(その3)」

認定看護師に向いている人

最後に認定看護師に向いている人を解説していきます。

もし向いている人の項目に当てはまっていない方でも、働いていく中で適性を身に付けていく方もいるため、「当てはまっていないから認定看護師を諦めよう」などと考える必要はありません。

あくまでも参考としてご覧ください。

質の高い看護を提供できるようになりたい

認定看護師は取得した分野について、他の看護師を先導できるような知識や技術を持った看護師を指します。

周囲を牽引するような存在となって、該当分野の看護の質を底上げしていきたいと考えている看護師の方にはおすすめです。

看護師の働き方は多様化していますが、看護の現場で1つの分野を極めているリーダーのような知見者の存在は、他の看護師のためにも重要です。

自分自身が質の高い看護を提供したいと考える方はもちろん、その分野自体の看護水準を高めたいと考えている方にも向いているといえるでしょう。

スペシャリストを目指している

認定看護師の方は、特定の分野を極めているスペシャリストともいえます。

看護師としてのキャリアプランの中で、スペシャリストの道を目指している方には、認定看護師になることは活躍の場を広げるという意味でもおすすめです。

認定看護師になるには時間と費用がかかりますが、生涯をかけてこの分野の看護師として働いていきたい、という強い思いがある方に向いている資格です。

詳しくはスペシャリストについて下記の記事もご覧ください。

認定看護師になるには所定の教育や審査を受ける必要がある!特定の看護分野を極めたい方におすすめ

ここまで認定看護師になるにはどうすれば良いのか、条件や取得までの流れや資格取得によるメリットを解説しました。

また認定看護師と比較されやすい専門看護師との違いや、認定看護師に向いている人についても紹介しています。

認定看護師になるには費用や時間を要しますが、今後専門性の高い看護師の需要は高まり続けるでしょう。

各分野のプロフェッショナルの証明にもなる認定看護師の資格取得を、ぜひ検討してみてください。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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