「訪問看護で人生を豊かに」~40年以上にわたるキャリアと想い 三井さんにインタビュー~みつい訪問看護ステーション

公開日:2025/02/18 更新日:2025/02/18
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訪問看護の管理者をしながら、添乗員やツアーナースとしても活躍する三井さん。2つの仕事をするようになったきっかけは何だったのでしょうか。これまでの経験や訪問看護ステーションの管理者として大切にしていることを伺いました。

看護師になったのは「なりゆき」。資格を取ってからも挑戦は続く

元々は高校生のとき、弁護士になるのが夢だったんです。それで大学の学費を稼ぐために医療事務になろうと思っていて。

ですが、面接に行ったところの事務長さんから「看護師に向いているのでは?」と声をかけてもらったことがきっかけで、看護師を目指すことになりました。1週間缶詰状態で必死に勉強して高校1年生のときに准看護師養成所に合格して、高校に通いつつ病院で働きながら養成所に通学して…あの頃は3足のわらじをはいていましたね。

正看護師の資格を取ったのは20歳です。主任に昇進してその後もずっと病院で管理業務に携わってきました。

透析のクリニックや急性期病院、ケアマネとしての業務、デイケアの立て直しの経験、訪問リハビリテーションサービスの立ち上げ…。さまざまな経験を積んできましたが「できることを増やしたい」「目の前の仕事をきっちりやりたい」という気持ちが原動力でした。

気がついたら40年以上経っていました。でも資格を取ったから、中途半端にするわけにはいかない、やめられないんです。私の性格上、常に前を向いて、次に何ができるか考えていますね。

ご自身の経験をお話しいただいた三井さん

ツアーコンダクターの資格を取得。その理由は「人の幸せな時間に関わりたいから」

40代の頃、平日の5日間は病院で働きながら、週末はツアーコンダクターの仕事をしていました。看護師の仕事をしていると、どうしても「幸せとは遠い現場」を目にする機会がありますよね。そこで「人の幸せな時間に関わる仕事がしたい」という想いが湧いてきて……。私自身が旅行好きだったこともあり、ツアーコンダクターの資格取得に挑戦しました。

ツアーコンダクターの仕事は、時間管理が重要です。たとえば、日の出を見るツアーならその時間に合わせたスケジュールを調整する必要があるし、雪で日の出が見られなかったときには、参加者にその代わりの楽しみを提供しないといけない。臨機応変に対応する力が必要でしたが、それが楽しくもありました。

ときにはツアーナースとしても参加させてもらうことがありましたね。特に高齢者向けのツアーでは「看護師がいる」という安心感を提供できるんです。旅行中に「今日は転ばぬ先の杖ならぬ、看護師の三井です」と挨拶すると、参加者の皆さんがホッとした顔をするんですよ。私のひとことで旅行がより楽しく、安心できるものになるなら、こんなに嬉しいことはないですよね。

修学旅行の同行では、中高生たちから「怪我しちゃった」「寂しい」といった相談を受けたりもします。なかにはヘアアイロンでやけどしたり、転倒して骨折する子もいて、看護師としての経験が役立つ場面も多かったです。旅行が終わるころには、子どもたちともすっかり打ち解けて、楽しい時間を過ごさせてもらいました。

自身の訪問看護ステーションを立ち上げたきっかけ。オンコール当番は管理者である自分自身で

訪問看護に転職したのは40代後半でした。病院でデイケアを立て直したのがきっかけで、次は訪問介護と訪問看護を立ち上げましょうという話になったんです。訪問看護立ち上げ当初は管理業務から離れたいと考えていたんですが、最終的には管理者を務めました。

その後、病院の訪問看護が閉鎖になるタイミングで、そのステーションの患者さんを引き受けるために、自身の訪問看護ステーションを立ち上げました。2011年のことです。

添乗員やツアーナースをしながら、訪問看護の管理者をしていましたね。ときには添乗員の仕事中に医療機関やケアマネジャーから連絡がありますが、電話の対応で済むことがほとんどです。時には、患者さんの気になるところの画像を送ってもらって、対応することもあります。

訪問看護の職場で重症な患者さんがいるときには、添乗員の仕事は入れていないので「添乗員の仕事で対応できなかった」ということはないですね。

うちの事業所では、私が緊急電話の当番をしているので、他の職員がオンコール当番をすることはありません。でも、夜中に実際に、緊急対応で出動するのは、1年に1回あるかなくらいですね。ほとんどが、電話での対応で終わっています。

それはスタッフが日中にしっかり対応してくれているからです。

スタッフのコミュニケーションが多いのも特徴です

訪問看護で大事にしているのは「基本に忠実に」「気づきを育てる」

訪問看護には、病院勤務にはない「患者さんの生活に深く関わる」という魅力を感じましたね。患者さんの自宅というプライベートな空間に入り、患者さんの生活を支えるんですよね。本当に奥が深い仕事だと思っています。

訪問看護に携わるうえで大事にしているのは「基本に忠実であること」です。ナイチンゲールの理念に基づいて、看護の基本を徹底しています。近道をせず、基礎をきちんとしていれば、どんな状況でも対応できると思うんです。ほかにも「気づきを育てる」ことを大切にしています。

たとえば、新人看護師が患者さんの「いつもと何か違う」という異変に気づけたら、それだけで成長なんですよ。完璧な判断ができなくても「いつもと違う」という違和感に気づいて周りに伝えることが、結果的に患者さんの命を守ることにつながります。

新人看護師には、より「基本に忠実に」を守ってほしいし、気づきを大切にしてほしいと思っています。「なにかおかしい」と気づける力が、経験を積む中で磨かれていく…それを支えるのが私の役割です。

私はなんにでも興味津々で、感受性が強いと言われます。経営方針に感性を伸ばすっていうものがあります。感性を大切にしておかないと”ひらめき”が出てこないと思っています。「こうでもいいんじゃないか」という考えが出てこない 自然と観察能力がついてくる

癒し犬の「陸くん&空くん」。大切なスタッフの一員です

管理者である自身の役割は「患者さんも仲間も支える、お守りのような存在であること」

うちのスタッフはよく「三井さんがいつも後ろにいる感じがする」って言うんです。実際に私が同行していなくても、どこかで見守られていると感じるみたいですね。それがスタッフの安心感につながるならありがたいことです。

うちの患者さんたちも、新人看護師を支えてくれることもあります。「この子、三井さんに怒られないように教えてあげて」なんて、患者さんの方からフォローしてくれることもあるんですよ。本当に良い方ばかりで、教育にも協力的に対応してくださってありがたいです。

ただ、スタッフのみんなに「患者さんは全員患者さんだということを忘れないで」とは伝えています。看護師は看護学校で「身体的苦痛」「精神的苦痛」などを学んできますが、現場に出ると忘れている人もいるんですよね。なので、ナイチンゲール誓詞を基本に、「看護覚え書」記載されている内容を忠実に実行すること。どんなに慣れてきたとしても常に「基本に忠実に」を大事にするように何度も伝えています。

訪問看護もツアーコンダクターも人生の一部。周囲を支える存在でありたい

これからの目標は、自分の理念を受け継いでくれる人に会社を託して、自分は裏方として支えたいと思っています。だけど、現場の人たちが困っているときには自分が戻る覚悟もありますよ。

弁護士になる夢はどこに行っちゃったんでしょうね……ですが、看護師の仕事は辞めるにやめられないんですよ。成り行きでここまできたけど、自分には部下もいるし、患者様とご家族、私を頼ってくれる同業他社の人々等・・・多くの人が、私を必要としている限り

看護師の仕事は、続けていくと考えていますし、それが、私の宿命だと考えています。

訪問看護もツアーコンダクター、ツアーナース、どれも私の人生の大切な一部なので、これからも続けていきたいと思っています。

インタビュアーより

今回インタビューさせていただいたみつい訪問看護ステーション様は、患者様やご家族、地域とのつながりを大切にしながら、温かみのある看護を提供されていることが印象的でした。三井さんをはじめとするスタッフの皆さんの「基本に忠実であること」「気づきを育てること」という姿勢は、新人からベテランまで、誰もが学び成長できる環境を整えています。

訪問看護の仕事を通じて、患者様の人生そのものを支えるという深い使命感が伝わってきました。安心感と信頼感を提供する姿は、スタッフや患者様からの厚い信頼を物語っています。未経験者でも挑戦できるサポート体制が整っており、訪問看護の魅力に触れられるみつい訪問看護ステーション様。ぜひその扉を叩いてみてください!

事業所概要

みつい訪問看護ステーション(東京都千代田区)

住所:東京都 千代田区 飯田橋1-8-9 ニューシティハイツ飯田橋7階

教育体制が充実し、ブランクのある方でも入職後に知識やスキルをキャッチアップできる体制が整っています。入職後には協議会の研修に参加できたり、実務の研修期間も個々の状況に応じてスケジュールを調整したり、訪問看護が未経験の方でも安心して業務に取り組めるようフォローしてもらえる点が魅力です。在職年数の長さ、新卒から在職している

スタッフが、多い事からも働きやすい職場だと言えます。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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